最近、1000グラムにも満たない超低体重の新生児が増えているそうです。
 
単産(単胎で生まれた出生)では、昭和50年には877人(1880507人中)でしたが、平成7年には2042人(1166596人中)と2000人を超え、平成21年には2566人(1049141人中)と年々増え続けています。
複産(双子・三つ子等多胎で生まれた出生)ではさらに割合が高くなっており、昭和50年で163人(20933人中)、平成21年には584人(20894人中)となっています。
また、全体の平均体重も年々減り続けています。
原因は、はっきりとはしていませんが、高齢出産や不妊治療の増加、食生活や仕事、公害などの影響もあるんだそうです。
 
20074月、慶應義塾大学病院で265グラムという超低体重で前年10月に生まれた赤ちゃんが無事退院したというニュースが報じられました。
平均3000グラムの中、265グラムで生まれてきた新生児が無事退院できたということは本当にすごいことですが、この活躍に一役買ったのが超精密『保育器』の存在です。
 
『保育器』の歴史は古く、ヨーロッパで始まったとされています。
1835年頃に、未熟児を温めるための特別な浴槽(浴槽の壁が二重構造)が開発され、その後、フードを取り付けて電気で水を温めるタイプのものが開発されたりしました。
現在は、浴槽型ではなく「孵卵器」を改良した『保育器』が使われています。
日本では、1901年にアルコールランプで内部を温める保育器『Lionの保育器』が輸入され、1921年に、東京大学の育嬰室で未熟児の保育が行われるようになりました。
 
『保育器』は治療や検査を目的とするのではなく、赤ちゃんを優しく包む、環境を整える、いわば「見守る機器」です。
『保育器』は主に4つの機能を持っています。
①保湿:一番重要な機能
②加湿:特に超未熟児や極小未熟児の場合には、出生直後から1週間は8090%の高湿度を保つ必要がある。
③感染防止:保育器に入れる空気はフィルターによりろ過して、埃や細菌の進入を防いでいる。
④酸素供給
 
現在はこのように、低体重で生まれてきてもそれに対応できる環境が整っています。
医学の進歩はもちろん、進化し続ける『保育器』のおかげです。
事実、新生児の死亡率も年々減少、日本は世界一の低さを誇っています。
 
子供は国の宝。
全ての国で、この世に生まれてくるすべての人間が優しく包まれ生まれてきてほしいですね。
 
参考資料:
体と病気の科学知識 日頃の不調や病気を正しく理解する(NEWTON 別冊)
参考URL
www.small-baby.com/souzanji/nicu/history.html