『狂牛病』って覚えていますか?
「クロイツフェルト・ヤコブ病」とも言いますが、一時期大変話題になり、うっすら覚えている人もいると思います。
しかし、今ではさっぱり聞かなくなりましたね。
 
『狂牛病』は『牛海綿状脳症(BSE)』の一般名で、1986年(昭和61年)にイギリスで初めて発見された、牛の脳の中に空洞ができスポンジ(海綿)状になる病気です。
人でなると「クロイツフェルト・ヤコブ病」と名を変えます。
(「クロイツフェルト・ヤコブ病」は、全身の不随意運動と急速に進行する認知症を主徴とする中枢神経の変性疾患です。)
 
当初は人間には経口でも感染しないと考えられていましたが、『狂牛病』に感染した獣肉で作られたキャットフードを食べた猫が死に、解剖したところ海綿状脳症であったことから、食物から感染した疑いが非常に高くなり、牛同士以外でも牛肉を通じての感染が疑われるようになりました。
ただ、(現在もそうですが)実際はどのようなルートで感染するかははっきりしていませんでした。
1993年にイギリスで初の新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病症例が出て、1996320日、英保健省大臣が英下院議会において「クロイツフェルト・ヤコブ病患者10人の発病の原因が『狂牛病』に感染した牛肉であることを否定できない」と発表します。
日本では20019月に、初めて千葉県でBSE患畜(乳用種経産牛)が確認されます。
その後、いろいろなメディアで取り上げられ、輸入停止など一時大騒ぎとなります。
しかし、何か知らないうちにあまり騒がなくなり、どうなったのか?ということすら気にしないようにもなりました。
 
さて、2010年以降、国内ではBSEにかかった牛は発見されていません。
現在は、都道府県負担の全頭検査は行われていませんが、48か月齢超は全頭検査しています。
結論も「人の健康影響は無視できる」と至っています。
吉野家で牛丼何杯食べても大丈夫!です。(多分。)
 
なお、「クロイツフェルト・ヤコブ病」の年間の発症者数は100~150人で、発症者の平均年齢は60歳代前半(平均発症年齢は68歳)です。
それまでごく普通の生活を送っていた人が、めまい・立ち眩み・視覚異常・倦怠感・不眠・不安・歩行時のふらつきなどを感じるところから始まります。幻覚や精神的な病気と間違われる場合もあります。そして、短期間のうちに、目が見えにくくなる、音が聞こえなくなる、言葉がうまく話せなくなる、字が書けなくなるなど、どんどん症状が進行し、多くの人は、一年も経たないうちに「無動性無言」という寝たきりの状態に陥ってしまい、その状態のまま、数ヶ月から数年で死に至ってしまいます。
 
しかし、発症者は硬膜移植などの手術によってヤコブ病の病原体が体内深くに埋め込まれるようにして感染している場合が多く、夫婦間や家族間の感染の報告はありません。空気感染もなく、通常の日常生活での感染はありません。一般的な医療行為や、看護、介護による日常的な接触にも感染の危険はありませんので、ご安心ください。
 
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