皆さんは、トルコ民話「ナスルディンの鍵」というお話をご存知でしょうか?
 
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むかしむかし電気もない時代のある日、ナスルディンという男が、家の前の土の上を這いつくばって何かを探していました。
 
その前を通りかかった友人はナスルディンに聞きます。
 
友人『一体何を探しているんだい?』
 
ナスルディン『鍵だよ、鍵。鍵を探しているんだよ。』
 
 そこで友人は、一緒になって「鍵」を探しはじめます。
 
 しかし、なかなか見つかりません。
 
 友人は尋ねました。
 
友人『ところで、何処でその「鍵」をなくしたんだい?』
 
ナスルディン『「家の中」さ。』
 
疑問に思った友人は尋ねます。
 
友人『じゃあ、何故「家の外」で探しているんだい!?』
 
ナスルディンは答えます。
 
ナスルディン『「家の中」よりも「家の外」のほうが「明るい」から、見つけやすいだろ?』
 
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皆さんは話を読んでどう思われたでしょうか。
「ナスルディン、馬鹿だなぁ。」なんて思ったでしょうか?
 
人間は目の前にある問題を、いろいろな角度から攻め解決しようとします。
しかし、
・自分は金運がないと思う→金運UPのパワーストーンやお守りを買う
・会議中、課題にぶつかった→過去の事例を見て解決しようとする
・新規事業を考える→今までにやっていたことのある分野で何か考える
などは「ナスルディンの鍵」のようなものです。
 
自分もそうですが、何かの問題を解決しようとするとき、上記のように「自身の分かる範囲」、自身にとって「明るい場所」で解決しようとします。
しかし、それはその場限りの解決策であり、時には解決せず、『発展』がない場合が多いのです。また、問題を「先延ばし」している場合もあります。
何かを始めようとするときも、「自分の範囲内でできること」に目が行きがちです。
 
経営学者のヘンリー・ミンツバーグは「H・ミンツバーグ経営論」という本の第2章『計画は「左脳」で、経営は「右脳」で』でこの寓話を使っており、『組織の重要事項についての決定過程では、「右脳」の活動に代表される資質の働きに依存するところが大きい』と説明しています。
 
「左脳」は『分析的』、読み・書き・そろばんなどの能力で活躍する脳です。
一方「右脳」は『直感的』、ひらめき・イメージなどの能力で活躍する脳です。
ミンツバーグは、左脳を「明るさ」、右脳を「暗さ」にたとえ、右脳の重要性を説いています。
 
日本人は読み書きそろばんはできても、ひらめきやイメージ力が乏しいとされています。左脳優位なんですよね。
 
人は、年が明けたり普段の生活に疑問を持った時などに『何かしらを始めよう!』と思いがちです。
そんな時こそ!ナスルディンのようにならないよう、ぜひ「右脳」を鍛えてみては!?
 
参考資料:ものの見方が変わる 座右の寓話(著:戸田 智弘)
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