アレルギーに対するお薬は、いろいろあります。
しかし、現在、アレルギーに対する治療のほとんどは、症状を抑える対症療法のみです。
アレルギーを完治させる方法は、全くない!・・・なんてことはありません。
「免疫寛容」という方法があります。
アレルギーになると、原因となるものに「触れない」「食べない」などしますよね。
しかし、「免疫寛容」は、あえてそれを体内に取り込んで行う治療法です。
アレルギーの原因となるものを徐々に与えて、それに対する「抵抗力をつける」という方法、それが「免疫寛容」です。
(花粉症には「減感作療法」、食物アレルギーには「急速飽和免疫療法」というものがあります。)
例えば、花粉症には「シダトレン」というお薬があります。
現在、国民の約1/3が花粉症に苦しめられていますが、花粉症の患者さんの多くはスギ花粉を原因としています。
「シダトレン」は、スギ花粉を原料としたエキスで、少量から服用することによって体を慣らし、スギ花粉によるアレルギー症状(スギ花粉症症状)を和らげるお薬です。
期待される効果は、
・くしゃみ・鼻水・鼻づまりの改善
・涙目・目のかゆみの改善
・アレルギー治療薬の減量
・使用者のQOL(生活の質)の改善
です。
「シダトレン」の初めての服用は、スギ花粉が飛散していない時期に、そして医師の監督のもと行う必要があります。
1日1回服用、舌の下に薬液を入れたまま2分間保持した後にのみこみます。
それを毎日、そして2~5年という長期にわたっての投薬をします。
効果は約70%以上。
そのため、頑張って毎日してもすぐには効果が出ない、きちんとしても効果が出ないかもしれないため、「シダトレン」使用者の中には、途中で挫折される方も多いのが現状です。
なお、「花粉症ワクチン」の開発も進められています。
「スギ花粉症ワクチン」の予防・治療効果は、すでに動物実験で治療効果があることが確認されていますので、(どこかの政党が公約にしなくても)将来的には「花粉症ゼロ」も夢ではありません。
参考資料:体と病気の科学知識 日頃の不調や病気を正しく理解する(NEWTON 別冊)
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