薄暗い闇の中。
仕事帰り、家に帰るため、いつも通りの道を一人で歩いている。
街灯はカチカチと点滅していて、今にも切れそうだ。
おかげで、自分の影が見えたり見えなかったり。
家に帰れば、明るいわが家族が待っている。
今日の夕ご飯は、子どもたちの好きなカレーらしい。
自分には少々甘いが、子供たちの笑顔を見ているだけで十分だ。
あたりはシーンと静まり返っている・・・。
・・・?
・・・何かを感じる・・・。
・・・何だ、この感覚は・・・!?
・・・誰かに付けられている感じだ・・・。
っっ――――!!??
って、シーン。ドラマとかでよくありますよね。
人間って、人の「気配」を感じることができます。
後ろに人がこっそりいても、それを感じることができます。
しかし、なぜなのでしょうか?
1977(又は1978)年、イギリスのデイビッド・ケンプという博士が、「耳鳴り」を病気と考えず『耳自体が音を発しているのではないか?』と考え、耳の中に超高性能マイクを取り付け、実験しました。
すると、耳の中にある「うずまき管(蝸牛)」に、ある一定の音を聞かせると「微小音」を発することを発見しました。
この微小音は、クリック音を用いた刺激に対し10ms前後の遅れをもって検出される音響反応「誘発耳音響放射(TEOAE)」と言い、蝸牛にある有毛細胞のうち外有毛細胞が外からの音に反応して、「有毛細胞自身が出している音(以下微小音)」と考えられています。
そして、その微小音が反響した際「気配」を感じるということです。(一説)
なお、難聴の検査で「耳音響放射(OAE)」というものがあり、この現象を利用して蝸牛の外有毛細胞に異常がないかどうかを調べることができる検査があります。
~耳音響放射の種類と刺激音の有無~
・自発的耳音響放射(SOAE):刺激音なし
・誘発的耳音響放射:刺激音あり
①誘発耳音響放射(TEOAE)・・・クリック、トーンバースト、トーンピップなどの短音刺激
②歪成分耳音響放射(DPOAE)・・・周波数が異なる2つの純音
耳音響放射の研究によれば、
・男性よりも「女性」:TEOAEの場合、両耳間では約1~2dBの差があることが報告されている。
・左耳よりも「右耳」:男児のほうが顕著、女児の右耳でSN比が高い。
・成人より「小児」、小児より「新生児」:このため、OAEは乳幼児の聴覚スクリーニングに適しています。
が、OAE反応が大きいことが報告されています。
なるほど!考えてみれば、よく「気配」を感じるのは「女性」が多いように思います。
「新生児」も、ちょっとした音に反応し、泣いてしまいます。(特に、シーンとなった夜!)
「シーン」という表現も、この「微小音」が反響した音を表した表現なのかもしれません。
「耳鳴り」も、この「微小音」が原因のものもありそうです。
「気配を感じる」のは、耳(特に蝸牛)が正常に働いている証拠かもしれませんね。
参考資料:子供にウケるからだの謎 ウソ・ホント!?(著:坪内忠太)
参考URL: