「アドレナリン」と「ビタミンB1」の共通点、知っていますか?
「アドレナリン」のことは以前お話ししましたが、この二つには共通点があります。
実は、どちらも「日本人が最初に発見した」ものなのです。
「アドレナリン」を発見した人は「高峰譲吉」という日本人。
「高峰譲吉」は1854年に生まれ、外国語が得意でイギリスにも留学。日本に戻ると日本酒を作るときに使う『麹』を使ってウイスキーを作る方法を考えつき、アメリカにわたりますが、現地の人の反対が多く失敗。しかし、『麹』からデンプンを分解する働きを持つ消化酵素『タカジアスターゼ』を発見・命名し、アメリカで胃腸薬として販売。その後、アメリカでホルモンの研究を進め、1900年にウシの副腎から『アドレナリン』(英語で副腎を意味する)の抽出に成功(実際、実験に成功したのは助手の上中啓三)しました。
三共製薬(現在は第一三共株式会社)の初代会長としても有名な人です。アメリカでは『バイオテクノロジーの父』と呼ばれ尊敬されている人物です。
(医学的には「エピネフリン」(ギリシャ語で副腎を意味する)と呼ばれています。)
そして、「ビタミンB1」も日本人が発見したものです。
発見した人は「鈴木梅太郎」。
「鈴木梅太郎」は1874年に生まれ、1907年に大学で栄養化学の研究(脚気の研究)を始めました。研究中、玄米をたくさん食べる人は『脚気』にならないことを発見し、1910年、『脚気』に効く物質「オリザニン」(チアミン)をヌカから取り出すことに成功、日本の科学雑誌に発表しました。しかし、1911年、ポーランドの科学者フンクがドイツの化学雑誌に、酵母から得られた同じ働きを持つ「ビタミンB1」を発表。その「ビタミン」という名前が世界的にも認められたため、「オリザリン」ではなく「ビタミンB1」という言葉が使われるようになりました。
「鈴木梅太郎」は「日本のビタミン学の父」として今も尊敬されています。
参考資料:やさしくわかる 子どものための医学 人体のふしぎな話365(ナツメ社)
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