脇や足の裏を自分でくすぐってもこそばゆく(くすぐったく)ありませんが、人にくすぐられると相当こそばゆいのは、皆さん体験していることでしょう。
不意な「くすぐり」はホント勘弁してもらいたいものです(><)
 
しかし、なぜ自分ではこそばゆくないのに、人にされたらこそばゆいのでしょうか?
 
2000年にそんな研究をした人たちがいます。
サラ=ジェイン・ブレイクモア、ダニエル・ウォルパート、クリス・フリスの3人です。
 
人間は何かをしようとする場合、脳から筋肉へ「このように動きなさい!」と命令を送ります。それと同時に「遠心性コピー」という事前警報となるものを発し、予定される行動に対して体をどのように動かすのか意識させます。
この「遠心性コピー」はとても大切で、これがないと人間はロボットみたいな動きしかできなくなってしまいます。また、急な動きにも驚いてしまいます。
重いものだと思って持ち上げてみると意外と軽かったということありますよね?それも「遠心性コピー」が関与しています。
このように、「遠心性コピー」に異常がなければ日常的な体の動きは事前に計画され、事前の計画とその計画通りに体が動く(脳に結果報告が行く)ことで、生じる衝撃や驚きを緩和できるということです。
 
自分でくすぐるということは、体の動きが事前警報として伝えられるため(「遠心性コピー」が発生するため)、くすぐったさを軽減できる、だから自分でくすぐってもこそばゆくないのです。
 
自分でくすぐってみて「こそばゆい!」という状態はあります。『統合失調症』の場合です。
「幻聴」や「カタレプシー」といった状態は事前警報がない状態で、このような症状を持つ『統合失調症』の患者さんは、自分でくすぐっても「こそばゆい!」んだそうです。
 
ということは「押すなよ、絶対押すなよ!」というあのシーンは、「遠心性コピー」がきちんと働くから、熱湯だとしても実はそんなに熱く感じていないってこと・・・??
 
いや、やっぱ熱いか!(><)
 
参考資料:パブロフの犬 実験でたどる心理学の歴史(著:アダム・ハート=デイヴィス)
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