「酒は百薬の長」といいますが、いつから言われているのでしょうか?
 
この言葉は、古代中国「漢」の時代に王莽という人が酒を称えて言った言葉で、『漢書・食貨志下』という書物に
 
「夫鹽食肴之將、酒百薬之長、嘉會之好。鐵田農之本、名山大澤、饒衍之臧。・・・」
(塩は食肴に欠かせぬものであり、酒は百薬の長としてめでたい集まりに相応しいものである。 鉄は農業に必須であり、名山や大きな沢は生活を潤す産物がたっぷりと在る。・・・)
 
と書かれたのが最初とのことです。
この言葉は、王莽が六管や五均などの政策が役人の腐敗などによって悪用され、人民の怨嗟が激しくなったことを憂えて詔を発したとされています
(*六管(ろっかん):酒・塩・鉄・銭の鋳造及び名山・大沢を国が管理するという王莽が出した専有制度。
*五均(ごきん):商工業と物価統制。王莽の政策のひとつ。)
 
また、日本でこの言葉が使われた最初の書物は吉田兼好の「徒然草」なんだそうです。
 
類義語は「酒に十の徳あり」「酒は憂いの玉箒」「酒は天の美禄」。
対義語は「酒は命を削る鉋」「酒は諸悪の基」「酒は百毒の長」。
 
英語では、
Good wine engenders(makes) good blood.(良いぶどう酒は良い血を作る)

There are more old drunkards than oldphysicians.(老いた医師よりも老いた酒飲みのほうが多い)

Wine is panacea of all ill.(酒は万能薬である)
というんだそうです。
 
お酒は自分も大好き(嫁に一升瓶の置き場を変更するよう常に言われるくらい大好きです!)ですので、この言葉を信じて飲んでいます(><)
しかし、お薬を飲んでいるときは絶対お酒と一緒には飲んでいません。
これだけは守っています。
お酒を飲む機会が多くなるシーズンになると、よく患者さんが「お薬と一緒にお酒を飲んでいいか?」と言われますが、自分は絶対しませんので「やめといたほうがいいですよ」とは言います。好きだからこそ、そう言います。お酒は楽しく飲むものですから。
飲みたくなる気持ちはわかりますが、「こっちを立てればあっちが立たず」というように、体、特に肝臓を悪くしてしまいますし、お薬と一緒に飲めば「副作用」で苦しみます。
 
また、「眠れないのでお酒を飲む」という行為も大変危険です。アル中の一歩手前といわれても仕方ありません。
 
「適量」という言葉もあいまいですね。なかなか「自分の適量」ってわかるものではありません。その場の雰囲気やその時の自分の体の調子によって「適量」は変化しますので。
正直、周りに何かしら迷惑をかける行為が出始める一歩手前の量は「適量」とは言い難いです。
「自分はお酒に強いから」とか言って、がぶがぶ最初から飲んでいる方は、本当に要注意です。
お酒はお薬と一緒で、時間がたってから効いてきますので、1杯を飲み始めて30分~1時間経った時の状態を見て、その時の「適量」を『意識すること』が大切かと思います。
意識するのとしないのでは全く違いますから。(その場で意識できなければ適量を超えたということも言えますし。)
 
お酒の飲みすぎは、体にも家計、家庭そして人生にも影響が出ます。
死ぬまで飲みたい方は「飲みすぎない」に越したことはありません。
 
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