皆さま
龍翠です。こんにちは。
このところ、ご縁のある方々からの祈祷依頼、その準備に追われています。
六月の行事と言えば夏越の祓です。これは私たちも恒例行事として12月の大祓式と同様に斎行しています。
大祓は平安時代には6月と12月の晦日に朱雀門において、中臣氏の神官が祝詞を読んで祭事を行っていたものが、時代が下ると6月の祓だけが残りました。
この半年間につもりに積もった罪穢れを祓い清めて、厄払いをして、年の後半に向けて清浄な心身になって臨んでいこうという意味合いも込められています。
穢れというものは、放置しておくとゴミや垢みたいに溜まっていく性質を持っています。
物理的な汚れとは違いますけど、塵も積もれば山となる。
心の垢だらけ、歩くゴミ屋敷になります。
邪気邪念の塊みたいになってしまうと、色々なトラブルも起こりやすくなります。そこで、定期的に清浄な状態に戻してやる必要が出てくるから、このような祭をおこなうのです。
神社で行われる夏越の祓では、大きな茅の輪を作ってそれをくぐることで、邪気が祓われるとされてます。
私たちの祭式では、茅の輪を依頼者の人数分こしらえて、依頼者の姿をかたどった人形(ひとがた)をつくり、これをくぐらせます。
基本的に、対面形式でない限り、人々を一カ所に集めて集団で行事をやるという祭式は採用していません。祭の場所を人によって別々に変えることはあります。
これも、神さまと自分との個人的な関係を重視しているためであり、全国に散らばっている依頼者が物理的に移動しなくても、形代を代理として、ご本人の意識を転送し、遠隔で時間も距離も関係なくできるわけです。
意識の非局所性の特性を利用していけば、こうした遠隔祈祷も自由自在にできます。
完全に一対一の関係を確立するには、この方が合理的です。意識というのは時間も距離も関係ない性質を持っていますから、遠くに住んでいる方でも近所の人でも同じように神さまとの意識交流を可能にできます。
それに、依頼者と相性の良い神さまも一人一人違いますから、1カ所に集まってもらって一括でお祓いしても効果がないのです。あくまでも、その人に関係のある神さまとご本人の波長が合うように調整しながら、一人一人やります。
あるいは、人によって相性の合う神さまの鎮座されている神社の近くに臨時の祭壇を設置して、それぞれ別の場所で行うこともやります。家族で申し込まれても、これを個人別に実施します。何々家で一括実施はしません。
常設の神殿ができたのは神道の歴史から見ても新しいスタイルで、その昔は祭を行う場所に仮の祭壇をつくって、お祭りが終わればそれを撤収して元に戻すという形式でした。
なるべく、古代の神祇信仰の祭礼、祭式を復元して、昔ながらの呪術を使っているのです。
夏越の祓の最後は、個人別の茅の輪に火をつけて燃やしますが、炎の輪に厄除けの木の人形をくぐらせて災難や厄を祓います。
残った灰を丁寧に集めて水に戻します。その場合、四国山中の滝で「水に戻す儀式」を執り行います。
これが、火の力と水の力を使った祭祀です。
他にも人形を使わず、依頼者の髪の毛や爪など身体の一部を送っていただいて、気の調整を行うやり方もあります。
人体の一部にその人の情報が刻まれていますから、その性質を利用する秘術があるのです。
とても手間暇もかかって、祭器や道具も祭が終われば壊したり、破砕して土に返しています。カミゴトに使う道具を使い回すことはしません。祭のごとに新しい祭器、神具を揃えています。
なので、準備するのも大変なのですが、確実に結果を出すためには、まず完全個別対応をすること、神さまと依頼者との意識の交流ができやすい場所を選ぶこと、火や水の力など五行の気の性質に応じた祭式を取り入れること、など独自の方法論を確立しています。
最近は、お祭りと言っても「カミなき祭」が増えて、観光客相手のエンタメになっている感がします。
お祭りのときには大勢の観光客が押し寄せるところもありますが、人間が大勢集まって飲み食いして、浮かれ騒いでいるだけのイベントになっているところもあるようで残念です。
春夏秋冬のお祭りには、本来の意味があります。それぞれ季節の移り変わりに訪れる神々や精霊を祝うもので、五穀豊穣や無病息災、豊作祈願、疫病退散、感謝祭、新春祝いなどの意味合いがあります。
日本の信仰は古くから寛容で、神道と仏教が共存しながら時には融合し、万物に宿る精霊、先祖の魂も一緒に敬ってきました。分け隔てなくいと賢きものをカミとして敬い祀るのが日本人の祭祀の心です。
なので、怨霊や鬼ですらも、逆にその力にあやかって、疫病や災害から守ってくれる神として祀ったのです。疫病退散の祭も疫病神を攻撃して、打ち破るという性質のものではなく、お供え物をたくさん差し上げて「お帰りください」とお願いするものなのです。
それに、祭りで神様にささげる芸能は、あくまでも神さまを喜ばせ、楽しんでいただくためのものです。人だけが楽しんでどうするんだ?という疑問を感じますね。
それだけ人と神さまとの距離が遠くなってしまったのかなあと思ったりしますね。
私たちの祭祀は四国山中、山奥のエリアを借りて斎行しています。
天然の気場の良いところでないと穢れなど祓うことはできませんし、人の大勢住んでいるところでは静かに、かつ厳粛な祭祀などできません。
効率の悪い方法だとは思いますけど、神さまと人との間を取り次ぐのが私たちの役割です。
依頼者の思いをお伝えして、大難を小難に転じ、無病息災、家内円満など、それぞれの願いが叶えられますよう、静かで、豊かな自然のある場所の残っている四国で祈りを捧げていきます。
それではまた、お目にかかりましょう。
龍翠 九拝
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