宴会はビジネスを広げる大きなチャンス

 

 

中国ビジネスに少しでも関わりたいと思うのであれば、中国人との宴会は最高のチャンスになります。

 

中国人ビジネスマンの宴会は通常、レストランにある個室の丸テーブルで行われます。

なぜ個室でやるかというと、お酒が入るとどうしても声が大きくなりがちです。大きな声でビジネスに関する喧々諤々(けんけんがくがく)の議論をするのは若干周りに迷惑と考えるからです。でも最初から議論をしようと思って宴会を開く人もいません。ただ宴会の主催者にはそんな意図はあるかもしれません。

 

丸テーブルは通常10人程度座れます。

でも参加者10人が最初からメンバーが決まって開催される宴会の方が少ないのかもしれません。

今日の参加者は5人だから、後5人集めようというところからスタートします。

夕方17時に突然電話を架けて宴会への参加のオファーを入れる、というところが全然日本と違うところです。

この際に電話を架ける人は必ずしも主催者とは限りません。オファーをしている人が主催者の全く知らない人でも問題はありません。

なぜなら『宴会の目的が友達の輪を広げること』にあるからです。

日本で言う『異業種交流会』です。

 

『中国人と日本人の最大の違いは何か』

 

日本人は思いのほかグループ組織に固執します。『村社会思考』ですね。

でも中国人はグループや組織にはあまり固執しません。でも『友達』には固執します。

中国人は一般的に言ってですが、あまり他人のことを信用していません。日本人よりも口も達者ですし、お金にも敏感な方が多いので、いちいち他人を信用していたら、財産がいくらあっても足りません。気が許せるには『友達』だけです。ですから友達のためならば何を差し置いても動いてくれます。

友達もそう簡単になれるものではないとは言え、友人が紹介する友人なら気を許す余地が大きいわけです。

中国人の仲間作りと初めの一歩『宴会』になるわけです。

 

では中国人の宴会のメリットについて考えてみましょう。

 

  1.  丸テーブル。中国でも会議室は長方形のテーブルですが、宴会は必ず丸テーブル。丸テーブルは『堅さ』と取ってくれます。
  2.  食事を取る、お酒を飲むことからスタートするとやはり『堅さ』がないです。つまり余計な垣根がないスタートになります。
  3.  最初は世間話。ある時点で急にビジネスの話。そしてまた世間話。こういった自由なリズムが作れます。
  4.  一番大事な点は、『何を言っても良い』という雰囲気になることでしょう。お酒の飲みながら話をするとどうしても好き勝手な話になりがちなのですが、この『好き勝手な話』の中にビジネスのヒントが隠されていることが多々あります。つまり自分にない発想を聞くチャンスになります。他人が見ていると喧嘩(けんか)をしているように見える話も、輪の中で聞いていると真剣に議論していることが分かります。つまり『ブレーンストーミング』も兼ねているわけです。
  5.  この雰囲気があれば、いつでも中国版LINEである微信(WeChat)のアドレスを交換出来ます。微信(WeChat)のアドレス交換が出来たら、いつでもビジネスの話が出来るようになりますし、相手が日々どんな情報発信をしているのかも見ることも出来るようになります。
 
日本も昔は『飲みにケーション』なんていう言葉がありました。職場の雰囲気を良くするために上司や部下と飲食をしながらコミュニケーションを深める、というものです。これはこれで大事だと思うのですが、これは通常職場内での話。つまり『ムラ』の中でのコミュニケーションです。ですからどうしても『説教じみた話・自慢話』になる可能性もあるわけです。でも中国版の宴会の目的は、『友達の輪を広げること』。
これは意外に価値が高いと思いました。
 
(因みに中国人の宴会は主催者一人が費用を支払います。割り勘という発想はありません)
 
 

普段から『ブレーンストーミング』が出来る機会を作ろう!

 
そしてもう一つ見落としてはいけないこと。
 
中国人ビジネスマンはこういうチャンスを使って『ブレーンストーミング』を経験しているので、『議論に強い』んです。
悪く言えば『あー言えば、こう言う=屁理屈』。でも実はビジネスにはこういった感覚がとても大事なんです。つまり頭が柔らかくないと議論に勝てないという問題です。世の中は必ずしも正論だけで成り立っているわけではありません。実は屁理屈でかわす=話の内容をもう一度仕切り直しにするという部分がかなりあります。 
こんな技がないと日本人が議論で外国人に勝てなくなるということを心配しています。
 
別に『ブレーンストーミング』なんて硬い表現を使う必要もないと思います。自分の意見を言い合える友人同士で議論をして欲しいということです。飲み会の時に少しこんな時間を取り入れるということも大切なのかなという気がします。ただ以下の原則だけは守って下さい。
 
  1.  『否定語』は出来るだけ避けて下さい=相手の意見の肯定から入る
  2.  議論は勝ち負けではありません。相手を納得させればいいんです
 
如何でしょうか。こんなことが習慣になっていれば、中国人と議論しても少なくとも『負けない』と思います。
 
でもビジネスの世界は実は勝つ必要はないのかな、と最近思うようになって来ました。
なぜならば勝ち続けることは非常に難しいですから。
 
『相手を納得させる』
 
簡単なようで非常に難しい課題ですが、こんなやり取りが出来るように自分自身も努力しなければいけないと感じます。
ただ相手の目的が『勝ち』である場合は、『如何に引き分けに持ち込むか』も大事ですね。こういう時に屁理屈は効果があるんです。