7月17日~19日

帰国の日は、フライトが21:30のため、来月からここで一緒に仕事をするIさんと、アパート探しに出かけた。まずは、挨拶がてらに日本人会へ。残念ながら日曜日は閉館。平日の午後しか開いていない。役に立たないなと思ったが、ガイドブックによれば、日本語の話せる医者はここにしかいない様子。将来、お世話にならざるを得ない。

地下鉄を乗り継いで、アパート候補地へ。地下鉄は均一70センターボ(約30円)、型式は古いが、日本の地下鉄はここをモデルにしたとのこと。歴史は古い。パレルモ地区の動物園前で降りた。冬休みの日曜日のため、家族連れが動物園の入り口に続々と詰めかけている。まるで、ディズニーランドの入り口だ。
カメラをぶら下げて歩いていると、親切な老人夫婦が、カメラをバッグにしまなさいと言う。スペイン語なので、初めは何を言っているのかわからなかったが、直接カメラを片づけようとしてくれたので、たぶん、そう言ったのだろう。親切な人たちだ。やはり、治安がよくないのか。

アパートのある郊外から電車で市内に戻り、昼食をとろうと、レストラン街に向かって歩いていると、隣のIさんが、「わ!」と声を上げた。見ると、頭から背中にかけて、何か付着している。さては、鳩に糞をかけられたかと、ちり紙で拭き取ろうとするが、糞ではない。工事現場から生コンクリートでも降ってきたかと周りを見回しても、何もない。そこには、二人のアルゼンチンの女性がいて、「拭いてあげるから、上着を脱ぎなさい。」と英語で親切そうに言ってくれる。ピンときた。これがいわゆるケチャップ強盗だ。「Iさん、上着を渡したらいかん!!」と、その場を逃げようとした。周りには人通りがない。女性たちは更に、「汚れているから、タクシーで帰りなさい。」と道ばたに止めてあるタクシーをあけてくれる。無視して立ち去った。

たぶん、タクシーも仲間だろう。Iさんだけでなく、自分の上着から、ズボンにかけて、同じ泥(?)がべったり付いている。初めて訪れたBAで、しかもこれから一年あまり生活する場所を、気に入ったところだったのに、洗礼を受けてしまった。いい薬になった。

その夜、汚れた上着は鞄に詰め、真冬のBAを念のために持ってきたベスト一枚だけで空港に向かった。

(背中から、足まで泥をかけられた証拠写真)



帰りは、ダラス経由で直接成田に向かった。ダラスでは、トランジットにもかかわらず、入国審査があり、両手の人差し指の指紋を採取され、めがねを外した顔写真をとられ、手荷物については、「誰が荷物をつめた?自分で詰めたのか?その後、誰かに渡したことはないか?誰かに何か預かっていないか?・・・」等々、値堀葉堀質問され、いいかげんうんざりした。

世界中に紛争の種をまき散らし、自国のセキュリティだけ厳重に守る、これがアメリカの現実だ。2度と来たくない。

BAからダラスまで11時間、ダラスで3時間、ダラスから成田まで初めてB777で13時間、トータル27時間の直行便は、さすがに疲れた。
次は、ヨーロッパ経由で一泊しよう。

 

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