狂気のe-Tax
2021年2月17日
今年も憂鬱な所得税確定申告の季節がやって来た。
初めて確定申告に挑戦したのが30年前、不動産収入を申告した。1989年、バブルの真最中。千葉工場入社15年目、やっとたまった頭金でマンションを買った。そして、丘の上のマンションの完成を毎日楽しみにしていたら、完成直前に愛媛工場に転勤になった。住宅金融公庫と年金融資から、めいっぱい借りてローンを組み、会社の人事に全ての情報を提出し、給料天引き手続き。こうなると借金で首がまわらない社員は好きに移動させることが出来る。サラリーマンは因果な商売だ。
真新しいマンションに一度も住むことなく、賃貸ししてローン返済の足しにした。家賃収入とローン返済を相殺して少し還付金を受け取っていた。当時は手書きの申告用紙で、一日かけて精神集中して書類の必要項目の資料整理と計算をして確定申告書を作成した。当時書店で購入した「申告書作成の手引」は、税務署の担当者が使っていたものと同じだった。書類提出時に周りを見回すと、申告する人たちは領収書などの書類だけかき集めて、税務署の職員に相談しながら、署員が申告書を作成してあげていた。
友人は、毎年知人の税理士に頼んで、1万円の手数料で申告書を作成すると言っていた。
最近は、定年後の年金収入だけだが、国税庁のホームページで必要データを入力すると申告書が作成でき、それを自宅のコンピュータで印刷して、証拠書類と一緒に税務署に届ければよいので数時間で処理できる。いつも数万円還付されるので、年金振込時に天引きされている所得税は少し多めに取られているのだろう。または配偶者控除の関係かも知れない。複雑なので中身を確認する気にもならない。かといって、申告しないと損をする。
さて、今年は、e-Tax を試してみることにした。
昨年5月に定額給付金を申請するとき、10万円の予定外の収入が入るので、マイナンバーカードを読み取るためカードリーダーを購入した。昨年までは年に一回の確定申告のためだけにカードリーダーを購入するのも面倒だと思い、持っていなかった。
しかし、e-Tax システムを使い始めて少し後悔した。
システムを起動する準備のため、コンピュータの設定変更が必要とあり、Microsoft Edge か Google Chrome を選択する必要があり、慣れているMicrosoft Edge で設定した。そしたらエラーが出て、なんどやっても設定ができない。そこで念のためGoogle Chromeで設定したら一回で設定が完了した。ここまでで2時間経過。原因不明、何の説明もない。
必要資料は昨年の例を参考にあらかじめ準備していたので、申告書の作成は30分程度で完了。さてあとは税務署にコンピュータ上で送付するだけ。ところが送付準備の画面が繰り返されるだけで先に進まない。分からないときはマニュアルを参照しようと国税庁のホームページで「e-Tax のマニュアル」を見ると何と 525ページ もある。馬鹿らしくて印刷もできない。これで、「簡単に自宅から確定申告できます」と… さすがにお役所仕事、狂っているとしか思えない。専門家のためのシステムか?
どうも、作成したデータを「受付システム」という別のシステムに転送して送るようだが、簡単にはわからないので、とりあえず初日はギブアップ。あと一ヶ月あるので気長に調べてみよう。ダメな場合は、去年と同じ国税庁の申告書に記入してプリントして税務署に持ち込めばよい。
(片付いたら、結果は追記します。)
早速追記: 2月18日
結局、二日目、半日かけてやっと完成。電子署名をして申告書を転送完了。
国税庁のホームページで自動計算した帳票を、e-Tax ソフトに再度記入しなおして、しかも e-Tax の帳票は記入に制限事項が多く、きわめて使いずらい。国税庁の帳票をそのまま自動転送できるシステムはないのだろうか。
ただ、パソコン上で税務署に転送することと、添付書類が必要ないことだけのメリットがあるが、きわめて使いにくいソフトで、これならプリントした書類を税務署に持っていくだけのほうがはるかに手間がかからない。車で5分だ。
マニュアルと格闘しながら、反日潰して申告書類を作成し、分かりにくい取扱説明書に頭から湯気が出そうになった。
(余談)
しかし、役所の書類はどうしてこうも複雑なのだろう。
こんな書類を作成するためだけの専門家がおり、彼らを食わせるためのシステムとしか思えない。MMT(現代貨幣理論)からすれば、税収が無くても国家は貨幣を印刷できるので、それで国家運営をすればいい。インフレ防止のスタビライザー(安定装置)として法人税だけを徴収して、貧乏な一般市民からの税徴収はやめたらいい。もちろん、景気を悪化させるだけの消費税などはもってのほかで、さっさと廃止すべきだ。
しかし、金持ちたちは、たとえばSoftbankはわざと赤字収支にして税金を払わないし、竹中平蔵などは、1月1日には毎年国外に転居して住民税を逃れていたという。ずる賢い連中は、合法であればいろいろな抜け道を考える。こんな連中と、国が知恵比べをすればいい。まじめに働く薄給の庶民から税金を巻き上げるために複雑な税制を運営するのは経費の無駄だ。
(追記その2) 3月10日
無事、還付金が振り込まれました。申請通りの金額です。
今年は、車の車検で、タイヤ4本を交換したので、少しは助けにはなりましたが、還付金では不足でした。
ところで、書類で提出した昨年は2週間で還付、e-Tax を利用した今年は3週間かかりました。
電子化しても、そのチェックなどで還付が遅れるのなら電子化の意味は無いですね。
ただ、役所に電子化したデータが残るだけのようです。悪用されなければいいのですが。
税金を取らなくても、貨幣を発行できる政府は、役所の人件費を含め、国の歳出はすべて国債発行で実行できるのは、MMT(現代貨幣理論)を理解している人には自明です。税金の一番のメリットは、やたら複雑にシステムを作って、システムを作るひと、運用する人の雇用を作る事でしょう。お役所仕事を作ることです。薄給、年金からその一部をかすめ取られます。金持ちは、そのシステムの複雑さを利用して金を儲けます。愚痴です。
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