限られた娯楽のミニ図書館で、桐野夏生を読みつくした次に選んだのは、乃南(のなみ)アサ。8月の終わりに、日本に帰国していたときに立ち寄った本屋に平積みしてあった「凍える牙」を、サウジに戻る機内で読んで以来、すっかり「おっちゃん」のファンになった。
 
バツイチのアラサー、音道刑事が、男ばかりの職場で女性蔑視に耐えながら活躍する。警視庁機動捜査隊でさっそうと白バイを乗り回し、プライベートでは1200CCでツーリングを趣味にする痩身の女性刑事。別のシリーズでは、「おっちゃん」とありがたくないあだ名で呼ばれながらも、同僚に信頼されている。
 
(凍える牙)
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謎解きのミステリーよりも、女性の心理描写が面白い。テレビドラマでは表現しにくい、小説ならではの想像を膨らませてくれるものがある。こんな女性刑事、映画にするなら、誰が似合うだろうか。
 
シャボン玉
凍える牙(*):直木賞
不発弾
5年目の魔女
花散る頃の殺人(*)
嗤う闇(*)
鎖(上)(下)(*)
家族趣味
ボクの町
パラダイス・サーティー()(下)
(*:音道刑事シリーズ)
 
「凍える牙」は、潤いの感じられない人工的な街、幕張が舞台になっているが、更に面白い続編「鎖」は、寂れてしまった熱海が舞台になっている。捜査本部で組まされた見掛け倒しのイケメン刑事の相棒のおかげで、犯人に監禁されてしまう音道刑事を助けようとする、かつての相棒中年デカの滝沢刑事。初めて組んだ仕事では、女性刑事を認めなかった頑固な中年オヤジも、一緒に事件を追ううちに音道刑事の仕事ぶりに一目置くようになっていた。・・・・
 
ついにミニ図書館の乃南アサも読みつくしてしまった。日本に帰ったら、読んでいない音道刑事シリーズを買い込んで楽しもう。
さて次の作家は。
 

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