6月16日(火曜日)

金曜日に釣り場から追い出され、たったひとつの楽しみを奪われたのに意気消沈していたが、セキュリティーのあまりの横暴に腹の虫が治まらず、今後の対策を考えた。

まずは、次の週末から、また桟橋でフィリピーノたちと細々と小物を釣るか。今の最大の楽しみは、大物ブルーフィン(カスミアジ)か、願わくは、5kg以上のGT(ロウニンアジ)狙いなので、桟橋では全く期待できない。

次は、月に一度くらい、漁船をチャーターして釣りに出るか。しかし、出費の割には、底物ばかりであまり面白くないのは経験済み。第一、手配が面倒臭いし、人数を集めるのも大変だ。

やはり、ダメもとで、セキュリティーの禁止を撤回してもらう方法はないか。翌日、早速、日本人の世話をしてくれている人事担当に泣きついた。「事故があったからとは言え、短絡的に釣り、海水浴を全面禁止にするのは、あまりにも安易なやり方ではないでしょうか。何とか、正式通達が出る前に交渉していただけませんか。」

「実態を調査してみます。」と返事が返ってきたが、土、日、月と交渉の結果を心待ちにするが、一向に動きが見えない。火曜日に、釣り仲間のひとりの提案で、ダイバーに話を持ち出してみることにした。彼らにとっても、遊泳禁止なら、目の前の岩礁下でのダイビングができなくなる。釣り師と同じ程度の被害を被っているはずだ。

アメリカ人のダイビング・インストラクターを知っているので、早速メールで協力を要請した。ビンゴ!何と彼は、日本で言えば、警備消防課のような部署で、直接セキュリティーと関係している。すぐに返事が返ってきた。

「申し訳ありません。セキュリティーの担当者が対応の仕方を間違えたものです。死亡したのは、外部から無断でコミュニティーに入ってきて溺れたもので、「私有地につき、関係者以外立入禁止」「深い場所あり、溺れる危険あり」などの看板を出そうとしていたものです。会社のマネジメントは、岩礁での釣り禁止とかサンゴ礁での遊泳禁止にする意図はありません。もし、同じようなことがあれば、遠慮なく私にご連絡ください。」

非常に明確な回答だ。仕事柄、問題解決のためには、いろいろな方向から攻めることが習い性になっている。今回は二つ目の対応がヒットした。

さて、明日の朝は、このメールのコピーを念のために持って釣りに行こう。事情をよく理解していないクマドリに嫌がらせをされるかも知れない。

(注記)
会社、コミュニティーいたるところに走り回っているセキュリティーの車の模様は、クマドリにそっくり。密かに、セキュリティーのことを、クマドリと呼んでいます。

 

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