6月12日(金)

週末は4時半に起きる。いつもより1時間近く早いが、釣りのためなら苦にならない。5時半に釣り場へ向かう。日の出と同時に海に入り、6時前には岩礁からルアーを投げている。昨日ジェッダでタモ網を仕入れて、ルアー以外はフル装備。

今日は6時で既に先客3人が岩礁に陣取っていた。1時間近くルアーを投げ続けてふと見ると、すでに釣り師は7人になっている。夏になり、水温も高くなり、これからがベストシーズンだ。

7時から餌釣りに変えて、ユカタハタ、クマドリが上がってきた。しかし大物は餌釣りではあまり期待できない。それでも、のんびり釣りをしている時間が唯一の楽しみだ。

7時半ごろ、陸から車のクラクションを鳴らす音が聞こえてきた。無視して釣っていると、暫くして、ライフセーバーがゴムボートで近寄ってきて、笛を吹き、手で陸に戻るように合図をしてきた。バラクーダの群れでも出てきたのかと男に近寄り、何があったのか聞くと、「Fishingは禁止だ。」「ここで2年以上も釣りをしているが、なぜだ。」「先日、この先でサウジ人とパキスタン人の死亡事故があったので、釣りは禁止になった。文句があるならセキュリティーに言ってくれ。」

仕方なく釣りをやめて引き上げていると、彼は、静かな内海で泳いでいる人たちにも、「ここは遊泳禁止だ。」と言ってまわっている。泳げる範囲は、桟橋の先のブイで囲ったプールほどの大きさのエリアだけだという。全くばかげた話だが、10人程度の釣り師の楽しみを取り上げたところで、彼らにとっては何の心の痛みもないだろう。むしろ、監視の手間が省けて楽になる。

さて、唯一の楽しみを奪われ、またコミュニティーは高級刑務所に戻ってしまった。

 

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