■壮大な“風呂ギャグマンガ”
イケメン古代ローマ人、ルシウスの苦悩する姿にうっとり…。ではなく、抱腹絶倒間違いなし。と思えば、風呂をこよなく愛する日本人と古代ローマ人の共通点や文明の豊かさに、「ふむふむ」と感心しきり。こんなマンガ、今までなかった。時空を超えて繰り広げられる、奇想天外で壮大な“風呂ギャグマンガ”である。
第14代皇帝・ハドリアヌス帝時代のローマ帝国。風呂の設計技師であるルシウスは、斬新でくつろげる風呂の構想に行き詰まっていた。ある日、浴槽に見つけた穴に吸い込まれ、現代日本の銭湯にタイムスリップ。以来、ローマと日本の風呂を往復することに。
銭湯の壁に描かれた富士山には「ポンペイのヴェスビオス火山ではないか!」と驚き、風呂上がりのフルーツ牛乳に「美味(うま)いッ!!」と度肝を抜かれる。サルも温まる露天風呂の存在や家庭用風呂のふたやシャワー、浴室用テレビ…。風呂を取り巻く文明の豊かさに、ローマ人の誇りは崩れ去る。ローマに戻っては、日本で見た風呂のアイデアを取り入れてみるのだが-。爆笑必至だが、各章最後のコラムは読み応え十分で、作品を引き締めている。
著者は東京都生まれ、北海道育ち。17歳でイタリア・フィレンツェに渡り油絵を学んだ。今はイタリア人と結婚し、ポルトガル在住。作品はエンターブレインの月刊漫画誌『コミックビーム』で不定期連載だったが、12日発売の4月号から定期連載を開始。コミックは昨年12月に刊行された。同社担当者は「ジワジワと人気が広がり、約20万部。編集部も驚いています」と話している。
17日発表の「マンガ大賞2010」のノミネート作品にもなっている。一(いち)押し。結果が楽しみだ。(エンターブレイン・714円)
宮田奈津子
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