千葉県浦安市立小学校の元教諭(50)=依願退職=から性的暴行を受けたとして、知的障害のある少女(18)と両親が、元教諭と県、市に約2000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁(一宮なほみ裁判長)は24日、県と市に計60万円の支払いを命じた1審・千葉地裁判決を変更、新たに暴行を認め、県と市に計330万円の支払いを命じた。

 元教諭は強制わいせつ容疑で逮捕、起訴されたが、千葉地裁、東京高裁とも「少女の証言は信用できない」として検察側の主張を退け、06年2月に無罪が確定した。ところが、民事の1審判決(08年12月)は性的暴行の一部を認め、原告、被告双方が控訴していた。

 判決で一宮裁判長は「1審が認めた暴行以外にも数回胸などを触り、下半身を見せたことが認められる」と新たな暴行を認定。少女の証言については、知的障害児の特性を踏まえ「被害をすぐに申告できなくても不自然とは言えない。内容は具体的で臨場感がある」と、信用性を認めた。

 元教諭については「捜査段階で逮捕容疑を認め自白した。幼児性愛傾向があり、少女に性的暴行する動機があったと認められ、自白は信用できる」と判断。刑事事件捜査の経緯に踏み込む異例の判決となった。

 訴状によると、少女は小学6年で特殊学級に在籍していた03年4~7月、教室などで元教諭から体を触られるなど計22件の暴行を受け、市はそれを防止できず、県も元教諭への適切な処分を怠ったとしている。1審はこのうち3件を認めたが、他は退けていた。

 判決後、原告の両親は「知的障害児にとって初めて正当な裁判が行われた。被告はひとかけらでも反省の気持ちがあれば上告を断念すべきだ」と話した。

 一方、浦安市の松崎秀樹市長は「判決を詳細に読んでいないのでコメントは控える」、千葉県の森田健作知事は「判決を十分検討し、適切に対応する」とのコメントを発表した。【中川聡子】

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