久しぶりの更新です。

 

 表題の通り、NTは個人投資家には向かないということを分析してみました。

NTには平均回帰性があり、マーケットの上昇・下落を考えなくてすむトレードという話をよく聞きます。

確かに、株価に比べると平均回帰性がありますが、上昇・下落に関しては、明らかにマーケットの影響を受けて動いています。

(特に日経平均)

下記は、直近5年間の20日ヒストリカル・ボラティリティ(年率換算)の日経平均HVからTOPIX_HVを引いたボラティリティの差です。

 

            

殆どの期間において、日経平均の方がTOPIXよりもボラティリティが大きく、時期によっては6%以上差がついていることがわかります。

このことは、マーケットが上昇するときは、日経平均はTOPIXよりも上昇率が高くなる可能性があり(NTの上昇)、下落するときは下落率が大きくなる(NTが下落)可能性が高くなることを意味してます。

 つまり、相場の上下を当てていかないと、NTトレードで有意に勝っていくことは難しいのではないかと考えられることです。

個別銘柄のペアトレードでは、2つの銘柄のボラティリティの大きさに差があっても、個別銘柄は個別要因で動く割合が大きいので、ボラティリティが小さい銘柄のほうが大きな銘柄よりも、値上がり(値下がり)率が大きくなることはあるでしょう。NTの場合はインデックスであり個別要因が小さいので、このボラティリティの差が、有意にNTの上昇下落に影響する可能性が高いと考えられます。

 

 その他、株価を説明するファクターが日経平均とTOPIXでは、結構な差があります。

例えば、株価が下記のファクターで説明できると仮定します。

株価 = β値 + サイズ(時価総額) + PER + PBR + ボラティリティ + 残差(①~⑤のファクターで説明できない部分)

        ①       ②         ③     ④     ⑤       

NTトレードの優位性は、①~⑤までのファクターリスクを、両建てすることによりマーケットニュートラル(リスクがゼロ近傍)にし、残差部分の統計的な平均回帰性を理論的な根拠にしていると見られます。このことが、NTはマーケットの上下は関係ないと言われている所以でしょう。

 ところが、ニュートラルと想定している各ファクターが、日経平均とTOPIXでは、結構異なるのです。

①のβ値については、日経平均のTOPIXに対するβ値は1近傍ですので、ニュートラルと見ていいでしょう。⑤のボラティリティは上述の通り、日経平均>TOPIXであるためニュートラルとなっていません。②のサイズは、今やTOPIXの方が中小型株の動向を反映する指数になっており、日経平均は大型株に傾斜しているため、ニュートラルとなっていません。③、④のPER・PBRですが、公表ベースでは加重平均型の値ですので、ちょっと割引いて見る必要があります。

実際の日経平均の構成銘柄のウエイトで計算した値は(例えばファストリのウエイトは、6.6%とか)、公表ベースのものよりも大きいと考えられます。 下記のURL日経プロフィルに加重平均と指数ベース(こちらが実際の値に近いと見られる)が掲載されていますので、ご参照ください。

https://indexes.nikkei.co.jp/nkave/archives/summary

指数ベースでTOPIXと比較すると、11/16現在で、

PER 日経平均 18.78 TOPIX16.26  

PBR 日経平均 1.85 TOPIX1.37

となっており、いずれもTOPIXが割安になっており、これらのファクターもニュートラルになっていません。

 

 したがって、残差部分は平均回帰していても、平均回帰しない、発散する可能性があるファクター部分がニュートラルになっていないため、NTは時期によっては上下に大きなトレンドを持ち、平均回帰しないことがあるということです。17年9月限で個人投資家が、NTで大きな損失を出したと聞きますが、平均回帰を信じてNTロング(日経買 TOPIX売)でエントリーしたものの、平均回帰することなく下落し続けたのは、これが理由の一つと考えられます。12月限では9月限と真逆のことが起きており、かなり極端な展開になっています。

 

 機関投資家であれば、ファクター分析モデルをもっているので、日経平均がTOPIXに対して、どこでリスクを取っているかを精緻に分析できますが、ネット証券のコンテンツが頼りの個人投資家ではどうしようもできません。現実には、まだまだ、個人と機関投資家では情報に差があるのです。

 NTはボリンジャーバンドなどを見ると、平均回帰しているように見えます。しかし、先物でやる限り、それが3ヶ月の中で起きる必要があります。最終売買日に合わせて都合よく平均回帰してくれるとは限りません。

 9月、12限月を見る限り、225先物、TOPIX先物とも大口の投資家がそれぞれの都合でトレードしており、そのような需給の中、たまたま平均回帰が起きることがあると見たほうが良さそうです。

 以上、NTトレードは、インデックス故に日経平均とTOPIXの微妙な差異が有意に出てしまい、非常に難しいトレードではないでしょうか。安全そうに見えるNTトレードも、情報面から個人投資家には、向かないのでないかと考えます。