何故合格できたのか全く見当も付かない。帰宅後すぐに速達書留を見せてもらう。様々な書類とともに、結果通知書を眺める。一見事務的な文言が並べてあるだけの形式ばった文章であるが、間違いなく合格だ。

 

「よく頑張ったなあー。」とほめると同時に、「合格できると思ってた?」と聞いてみると、

 

「毎日合格しますようにってひそかにお祈りしていた」と笑って話した。

 

 

 


 

 

これまでの勉強の努力が無駄にならないよう英検とか数検で合格してもらうなど小さな成功体験を経験してもらってはいたが、まさかの二華中合格。これ以上の喜びと驚きはない。しかし同時に、再び疑問がわいてくる

 

あれだけ間違ったのにどうして合格なのか?


 

最初は問題レベルが上がったからと思っていたが、どう考えてもおかしい。間違えた問題は、それほど難しいものではなく、合否を決定づけると思われる問題ばかり。大体こういう時に考えられる可能性は寄付金や縁故による加点などだ。一昔前の医学部の入試ではあたりまえのようにあったらしい。しかし公立の中学入試では聞いたことがない。可能性があるとしたら、

 

 

 

 

 

「採点ミス」

「得点の集計ミス」

 

以外にあり得ない。と同時にあるアイデアが浮かんで、本人とそれとなく話してみる。

 

 

 

 


 

父「これちょっとおかしいよね、あれだけ間違えたのに・・・。」

子「確かにそう言われれば・・・・」

父「ちょっとパパ気付いちゃったんだよねー」

子「何が?」

 

父「採点ミスで合格になっちゃってるんじゃないの?」

 

 

 

 

 

子「そんなことあるの?」 

 

父「よくさー、採点ミスで不合格が合格になるパターンってあるじゃん。毎年のように大学が採点ミスを修正して追加合格出しているよ」

 

子「でも合格取り消しはないでしょ?」

 

父「合格取り消しもあるよ。不正がバレたり、飲酒したり、タバコ吸ったり、無免許運転とか、万引きしたりとかで推薦合格取り消された中高生なんてたくさんいるよ。」「最近ならツイッターで変な動画載せたりしたりとかで会社の内定取り消しとか」

 

 

 

 

 

子「合格取り消し絶対やだ。どうすればいいの?」

 

父「まず目立たないようにしておいた方がいいね。」「採点ミスが気づかれないように、合格の事はあんまり言わない方がいいよ」

 

子「でも来週学校に行ったらみんなに聞かれるよ」

 

父「聞かれたら答えていいけど。あと、あんまり嬉しそうにしない方がいいねえ。」

 

「採点ミスがなかったとしても、問題行動があれば合格は取り消される可能性があるから、これまで以上にきちんとしないとね。いつも通りみんなと仲良くして、いじめとか嫌がらせをしないとか、宿題を忘れないとか、学校の勉強もきちんとやるとか先生の言うことをきちんと聞くとか。」

 

子「わかった。気をつける」

 

 

 

 

 

 

合格に疑問を抱きつつ、採点ミスによる合格取り消しの可能性に話を作り替えて今後起きうる不適切な行動をブロックしようとする悪知恵の働く父であった。