高橋 晋弥 (エドワード・ジョーンズ 投資戦略担当)

 1日に発表された米8月雇用統計は、労働需給の緩和を示すものとなり、米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ見送りを期待させる内容でした。まだ米8月消費者物価指数(CPI)など幾つかの指標を確かめる必要がありますが、これまで進めてきた米国の利上げの影響が表面化し始めたようにみえます。
一方で、米国の景気後退懸念は後退しているとの見方もあり、FedWatchの11月の利上げ予想も40%を超えてきています。

 すでにTOPIXは33年ぶりの高値圏に上昇し調整は一巡しています。ただ、日経平均株価でみた場合、調整は終了したとはまだいえません。調整の一巡には7月3日の高値3万3762円と8月1日の高値3万3488円を結んだ上値抵抗ラインを抜く必要があります。同ラインを突破するには3万3130円前後の水準まで日経平均株価が上昇することが求められます。株式相場は6月高値からのもみ合いが3ヵ月近くに及んだことから日柄調整は十分であり、そろそろ相場は上放れの局面に入ってもいい頃でしょう。

 日経平均株価の今後の上値の見通しとしては、8月の高値3万3488円から同月安値3万1275円までの押しの倍返しが3万5700円前後となります。年末から年明けまでも視野に入れれば、この倍返しの水準までの上昇も期待できそうです。

 当面はメインの物色対象はバリュー株でしょう。ただ、半導体関連などのグロース株も押し目は拾い場となりそうです。連結PBR1倍割れや配当利回り3%超といった銘柄への人気が続くでしょう。三菱商事 <8058> [東証P]など商社株や三菱UFJフィナンシャル・グループ など銀行株、日本郵船 のような海運株、日本製鉄 といった鉄鋼株などの活躍が期待されます。