11月16日,G★2010に先駆けてNCsoft本社で開催された「2010 NCsoft G-Star Premire」では,同社の新作はもちろん,の最新情報も公開された。ここで「2003年のサービス開始から7年を経た作品をどうしてプレミアイベントで発表するのか?」という疑問を持つ人もいると思うが,その理由は,次期アップデートが“新作”と呼べるほどの大きな変革をもたらすものとなっているからである。  「Lineage II」において「ファーストスローン 新たな種族カマエル」「セカンドスローン フレヤ」に続く新章は,「破滅の女神」と名付けられている。すでに今回の予告として,「Awakening」という非常に短いティザームービーが公開されていたのを覚えている人もいるだろう。そこに出ていた「謎の女性」の正体は,女神シーレンその人であった。  Lineageシリーズのバックストーリーを知る人であれば,神々の戦いの原因やモンスターの産みの親となった女神シーレンはご存じだろう。シーレンの配下となる巨人族は,死の世界から女神シーレンを呼び戻した。水の女神から憎しみの女神となったシーレンは,空中に浮かぶ巨人族の遺跡をアデンにぶつけて世界を滅ぼそうとする。その企みを察知したプレイヤー達は,それを阻止すべく巨人族の遺跡へと向かう。……が,あまりに強大な神々の力の前に人々は限界を感じていく。そういった状況で,巨人族の力を得たプレイヤー達に,新たなるスキルを獲得する「覚醒」が起きていく。  会場では「破滅の女神」に収録される導入クエストの模様が公開された。内容は,巨人族の遺跡で行われる4種のミッションで一つずつスキルを習得していくというもの。最後に遺跡のコアを制圧し,落下を食い止めようとするのだが……,という展開であった。映像を見る限り,遺跡はアデンに落下しまくっているわけだが,今後は覚醒を果たしたプレイヤー達とシーレンの配下による,さらに激しい戦いが繰り広げられることになるのだろう。ムービーでは,シーレンの巨大な“手”が確認できるのだが,いつかはシーレンその人とも対峙する日が来るのだろうか?   で,問題の「覚醒」である。ムービーを見れば,いかにこれまでのLineage IIとはかけ離れた戦闘が繰り広げられているかがお分かりだろう。2009年ので,初めてAwakeningが語られたときの内容を抜き出してみよう。  ムービーでは,上記+αが実装されていることが分かるだろう。単にスキルが増えるといった次元ではなく,戦闘の方法自体も変わっているように思われる。Awakeningの構想が発表された時点でも,従来のスタイルの戦闘システムを根本から変えかねない大胆なものだと思っていたのだが,実際のプレイ画面を見ると,ほとんど“新作ゲーム”といってよいほどの内容となっている。  MMORPGでは,新エリアや新装備の追加といったコンテンツ中心のアップデートが行われるのが常なのだが,今回のLineage IIは“ゲームのシステムを刷新する”という方向性を打ち出した。毎年毎年,次々に新しいゲームが登場していくなかで,7年目を迎えるLineage IIでは,この先の7年間を見据えて,それに耐える新たなシステムを構築したのだ。  もちろん,従来のシステムが気に入っていた人は複雑な気持ちかもしれないが,ゲームシステムが一気に最新仕様に刷新されることに対しては,興奮を覚えるプレイヤーが多数を占めるのではないだろうか?  Unreal Engine 2(とはいっても,改造されているが)を使ったゲームのビジュアルは,現時点で見てもたいていの最新ゲームからさほど見劣りするものではない。プレイヤー数も多く,すでに蓄積されたゲームコンテンツは膨大である。そういったベースを持つゲームが,最新ゲームシステムを備えてリニューアルすることの意義は大きい。  元々のLineage IIは,今日の“韓国3D MMORPG”のスタイルを確立した作品といってよいだろう。かつては,Lineage IIのシステムをほとんど丸々コピーしていたMMORPGも数多く誕生したものだが,この新たな流れが,オンラインゲーム業界にどんな影響を与えるのかにも注目したいところだ。