本上野先生、フェミニズムについてゼロから教えてください!

P132〜読了

メモ女は男の所有物、という思想
分かる、これ。夫婦別姓に反対する文脈にも潜んでいる気がする。
正直なところ、自分は「所有されて嬉しい」と思っていた。だけどそれこそが社会の長い歴史から受けた洗脳だったのかも!?

メモ母と娘の特別な関係
なるほどなるほど。父・母と息子・娘でそれぞれ同じような葛藤があるかと思いきや、それぞれが全く異なった性質の関係だったとは。
「息子は母殺しができない」に納得。
私が自分の母親に対して抱いているような思いを夫(の夫母に対する思い)には全く感じなくて、それは単に性格の違いかと思ってた。
きっと性格もあるけど、性別によるところが大きかったのか……どんなに伝えても伝わらない「壁」の正体が分かった気がする。
この「壁」も夫の性格に集約されるものではなく、性別の違いがあってこそだったんだ。

メモフェミニストにまつわる勘違い
「フェミニストは男が嫌い、男を許せない」
「フェミニストは社会で男のように振る舞いたい」
「フェミニストは潔癖」
「フェミニストは攻撃的」……などなど。
なんとなく、周りで聞こえる声を集めてすっかりイメージが固定していたけれど、全部誤解だった!
考えてみれば分かることなのに。それすら考えるのを放棄させて「なんとなくの嫌悪」を喚起させる社会とは、メディアとは……
「男」と一括りにすること自体が男社会的捉え方。「男」と「嫌がっても執拗に性的接触をしてくる男」は全くの別物。批判の対象は後者であって、後者を批判するからといって前者まで拒むものではない。

メモ「モテる女」の考察
とてもしっくりきたし胸がすっとした。
モテる女の存在にモヤモヤした経験があったから。
その反面、「モテる」ことに価値を置いてきた20代前半くらいまでの自分を振り返って、ああ…とため息が漏れることも。それがいいと信じて自己洗脳してきた道は、「男にとって都合のいい女」まっしぐらだったんだなと。フェミニズム論的には嫌悪(批判)されるであろう自らの力を放棄して男に捧げるような振る舞いは、いざ知識がついて参照すると恥ずかしい。大人の階段、登ってる。

メモマンガとアニメによる性差別
これもすごく分かる。
男と女ってわりと幼い頃から触れてくる文化が違う。少年マンガと少女マンガって全然違う。どっちが良し・悪しという話ではなく、それらによって分断されてしまっている現状が宜しくないよねという。
でも、なんとなく、分断がゆるんでいるようにも感じる。子どもの社会ではどうなんだろう。
少年マンガと少女マンガでそれぞれ「前提」になっている世界観についても、気になる。これから変わっていくのかな。親として把握しておきたいところだけれど。

メモ世代が変われば性行為の内容も変わる
これは想定外だった。世代を超えてそういう話、したことない。
「当たり前」と思っていたことが、少し年代が変わっただけで「非常識」になるなんて………目から鱗。

メモAVによる性教育
性的な接触について学べる機会がAV(成人向けの作りもの)って、本当に貧相。教育的資源が。
自分の場合を振り返ってみても思うこと。しわ寄せがくるのは弱者、つまり若い女になるわけで……
せめて我が子にはいくつかの選択肢があればいいと願うけれど、親個人で出来ることには限りもある。世代で変わらなければ。性行為は相手ありきのものだから。でもまずは、できることから。

メモ変わりつつあるフェミニストの存在感
近年急速に世に出てきた感覚、分かる。
だってこの私すら興味をもって本を購入するまでに至っているもの。社会問題にほとんど無関心だったくせに。
自分が結婚妊娠出産を経て当事者意識・問題意識が芽生えてきたのもあるけど、それだけじゃない。「言いやすい」環境が整ってきて言いたくなっているんだと思う。このブログ然り。

メモフェミニストは男のように生きたい女、ではない
いつの間にかそういう思い込みが私にもあった。夫が言ってるのを聞いてからかな?
これも全くの誤解だと、よくよく考えてみると分かる。たしかにそういう女性もいるけれど。一部であって全部でない。
そんなふうに解釈すること自体、男性社会的思想に染まっていたんだな〜〜。
前提からして異なっている両者に、対話なんて成立するのだろうか。

メモ「雇用の男女平等」
このあたりの知識(義務教育の教科書程度)から、現代はすっかり男女平等なのだと思っていた。実態は全然違った。
もちろん過去に比べたら、かなり進歩してきてはいるのだと思うけれど…
まだまだ平等に程遠い。平等ってそもそも何。デンマーク発祥の「ノーマライゼーション」みたいだ。
そうだよ、女は男のように生きたいわけでも、願えばそう生きられるわけでもない。まず身体のつくりが全然違う。無理に合わせようとすると、歪みが起きる。
じゃあ具体的に、どうしたいの?
……それを考えられるだけの、基盤と知識がほしい。

メモ自分の内情を投影して把握しようとするおじさん
いるいる分かる。相手にお説教してるつもりが、まんま自己紹介になっている人っている。

メモ無罪判決が出た性暴力事件
以前ツイッターで見かけて知ってた内容だけど、改めてゾッとした……
2019年の判決なんですか。去年じゃないですか。あまりにも不遇。女性の社会的(法律的)地位が低すぎて驚くし、反対に男性は高すぎる。他人事ではない。

メモ戦争神経症
このあたり、まさに知りたかった!
戦争が精神的・心理的にもたらす影響って絶対あるよね。あるはずなのに、毎年の終戦記念日前後ですらほとんど触れられないよね。何故だろう…と気になってた。国ぐるみで隠蔽されてたんだ。でも、隠しきれなかったんだ。
終戦後のPTSD、家庭内暴力(DV)から始まる暴力・虐待の連鎖。『戦争とトラウマ』、一度読みたい。

メモ「ホモソの象徴」
これは戦争の文脈にかぎらず、日常生活でも大いにあるな…
私自身、父親の暴力を受けて育ったけれど、父親を暴力(虐待)に駆り立てたのは紛れもなくホモソの圧力でもあると確信。
(「ホモソ」って初めて使った!慣れない)(男たるもの弱みを見せちゃあおしめえよ、みたいな同調圧力と認識してる)

メモフェミニストはミソジニーを抱えている
ミソジニー、ここでは「女ぎらい」と説明されている。
意外や意外!ミソジニーをなくしたいのがフェミニストと思ってた。なくしたいからにはまず、自身は決して抱えないのだろうと思ってた。反対だったのか。なかなか手放せないからこそ、なくしたい。
ミソジニーはフェミニストの対極にある存在の名前と思っていたけれど、ちょっと違った。母親の生きづらさを改善するために動いてるのが母親というかんじかな、母親の生きづらさを問題提起すれど、だからといって「母親にならない!」というわけではない、ポジション。

メモフェミニストは自己申告概念
誰でも名乗ればフェミニスト、だけれど、じゃあ自分は?といえば……うーん、どうなんだろう。
私の「フェミニスト」代表人物はエマワトソン。本書では最先端(?)のハーマイオニー世代。
日本のフェミニストって本当に全然知らなかった。テレビでどう扱われてたのかとかも。ただ、そういう風潮の中で育ってきてはいるから、間接的に影響は受けていると思う。フェミニストに対する思い込みとか、関わればロクなことがない、という洗脳とか。
そもそも「フェミニスト」が何なのか、いまいち分かっていなかったし、読了した今もこれ!って言える自分の中の定義がまだない。ただ、印象が変わったのは確か。

メモ「学恩」
上野先生が大事にされている言葉。いいな〜と思った。そうそれ!とも。
私自身、大学生してたときから大切にしてた思い。ようやくその名前を知れたかんじ!先人への尊敬と感謝を忘れずに。
最近これがない人が本当に多いと感じる。出典出さないブログ記事、YouTuber、セミナー講師…あたかもオリジナルのように語ってるけど絶対そうじゃないよねと、そういうモノからは一線引いてしまう。

メモ言葉を借りること
自分の言葉で話せ!という風潮がある。でも突き詰めて自分の言葉オンリーにしようとすると、結局何も言えなくなっちゃうんじゃないかな。
私はこのあたりを読んですごく楽になった。必要に応じて借りながら、借りた人のことはずっと心に留めながら、私も次世代へ繋いでいけたら。

「言葉って受け継がれるものだから。他人から借りて、納得して、自分のものにしていけばいいのよ。」


足あと足あと足あと


途中からブログに記録しはじめたけれど、最初からやっとけばよかった〜〜〜!

読書体験が全然違うものになる、気がする。記録する以前はただ読んで考えるだけだった。何を考えたのか、書いておかなかったことが悔やまれる…
読み返すという選択肢もあるけど、今はもう次の書籍に興味が向いているから。読書も一期一会。

結局この本では、「フェミニスト的、少し先の理想的な社会」のイメージは掴めなかった……所々で提言っぽいのはあったけれど。次はこれを!というのは、田房さんのまとめ絵で描かれていた「不平不満や違和感は溜め込まず、どんどん言っていきましょう」になるんだろう。

もちろんそれも大事。それが大事。でも……
ちょっと具体性に欠けるな、とも正直思ってしまった。と、いうか、不平不満を口にすることすら憚られる社会ということですよね、現状。ものすごく分かる。私も、夫に伝えるのすら躊躇することがまだある。

話し合いの内容を設定するどころか、まず話し合いをできるような環境を整えるところからなのか……道のりは遠い。遠いようだけど、インターネットの発展で、急速にそこまで行けてしまうような気もしている。

とにかく、まずは、過去(歴史)を知ること。そして今身を置いている現在地についても。
その点では、とてもとても役に立つ本だった。いかに自分が無関心できたか痛感したし、ちょっと生温い目で世の中見てたなとも思う。常に厳しく、もきついだろうけど、時としてシビアになれることは必要。

いざというときに語れる「言葉」を知っているのは、やはり大きい。なんとなくのモヤモヤを自分の力だけで表現するよりも、ずっと先に行ける。相手にも伝わる。ナメられない。(←大事)

身も蓋もない日本の現状に打ちのめされたから、今は希望の持てる文献に触れたい。という訳で次は外国の先進的な性教育について書かれた本を読む予定。
理想の大枠を掴めて心が安定したら、もう一度こちらの本に戻ってこようかな。



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