「ああ、その案件、3か月伸びたから。うん、契約更新したした。有給?使ってもいいけど、長期はちょっとつらいなぁ」

 

私は、先輩であり上司である目の前の女性の目を見ました。

その隣に座るもう一人の上司にも目で確認すると、うんと言ってくれました。

 

お昼休み、私は二人の女性から呼び出しを受けていました。

付き合いが長い、先輩であり上司でもある人たちです。

 

呼び出しを受けたというと少々語弊があるので、言い直しますが、二人の先輩に食事に誘われて社外で昼食をとっていました。

 

目の前では、A5ランクの良い肉が惜しげもなく焼かれています。

そして焼けた先からひょいパクしてました。

ここは先輩たちのおごり(だと思う)なので、私も遠慮なくお昼からガッツリです。

 

目の前にいる二人の先輩たちと私は割と仲がいいのです。

近況報告も兼ねてたまに社外で食事をとったりしています。

情報が漏えいする危険性もあるため、もちろん個室がある店に限りますが。

 

「みんなもう病んできてるでしょ?見た感じ、あなたのチーム、みんな目が死んでたもんね」

 

さすが先輩、よく見ていらっしゃる。

 

「契約も伸びたからね、ひょっとすると年単位で伸びる可能性もあるよ。だからそっちのチームに2人ほど入れるから。ローテーション組んでおいて。案件に障りがない程度にみんなに有給消化させてあげたいから」

 

ごっつぁんです。

 

「あとわかってると思うけど、ここは私のおごりだから遠慮なく食べていいよ」

 

ごっつぁんでーす!

 

私もこれでちょっと休みがとれそうです。

神経をすり減らした後輩にも喜んでもらえそうです。

 

後輩はストレスが溜まりすぎて、このままでは逃亡するんじゃないかという域まで来ていました。

 

今月の案件が終わったら旅に出るんだと息巻いていた彼女に、来月まで契約伸びそうだよと言った時のあの悲壮感漂う眼差しが忘れられません。

 

私のチームに追加で人員が入ってきたら、真っ先に後輩を休ませてあげようと思います。