ストレスの蓄積によって犯罪の可能性が高まる。ただし、社会保障政

のようなソーシャルサポート(SocialSupport)は、罪を犯そうとする者のストレスを解消させ、間接的に犯罪を抑制するとしている 

一方、犯罪に関する経済学的研究として、よく知られているBecker(1968)では、犯罪は便益と費用との比較によって決定され、犯罪の費用が犯罪の便益を上回れば犯罪が発現すると指摘

さらに、Becker は所得が増加するほど、犯罪の便益が低下し、犯罪が減少するとしている。

つまり、罪を犯そうとする者に社会保障給付があれば、所得が増加し、犯罪の可能性は低下すると考えられる。

日本では、憲法第13条の個人の尊厳と第25 条の生存権を基に、社会保障制度が整備されている。

日本の社会保際は、国民皆保険制度や年金制度などを中心としており、生活保護制度も含まれている。

厚生労働省は、「生活保護制度は、生活に困する方に対し、その困の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としている」と定めている。生活保談制度には、所得再分配機能と生活安定機能があり、税制を通じた高所得層から低所得層への所得再分配により、国民が少なくとも最低限の生活を営めるようにしている。具体的には、厚生労働大臣は各地域の最低限生活費を設定し、年金や手当などの収入が最低限生活費に満たない場合、最低限生活費から収入を差し引いた差額が生活保護費として支給される。こうした制度に対し、2018 年の生活保護の改正後に給付費の引き下げや受給抑制が存在すると指摘

生活保護制度の役割を、Becker(1968)の文脈の中で再検討すれば、当該制度の所得再分配は犯罪の抑制にも資すると考えることが自然である。例えば、失業者は生活のために犯罪し得るが、生活保護を受ける人はもはや最低限の生活を有するから、生活のために犯罪をする可能性が低くなると考えられる。つまり、職の無い人と比べ、最低限生活 を有する人の犯罪の便益の方が低い


日本の失業率、所得不平等度、貧困率等が犯罪発生率に対し正の相関があったことを実証


生活保障制度は所得再分配機能を通じて間接的に、犯罪を抑制している可能性を指摘できる。


共感の経済学が未来を創る


経済危機は抜本的な政治改革を実行するチャンス


貧困の終焉


セキュリティ


ルーズべルトは犯罪の基本的な原因は国民の生活困難であり、社会保障政策を通して犯罪を抑制できる


社会保障制度は犯罪を抑制したことを実証  


社会保障の支出は犯罪率に対して負の相関 


所得格差を表すジニ係数と犯罪率との間の正の相関


米国において大都市での犯罪率の方が高い

大都市になるほど、警察が犯罪者を逮捕し難くいことにより、犯罪の費用が低下して便益が高くなると解釈できる


所得と犯罪との間に負の相関を実証



日本を対象とした研究 

貧困率やジニ係数、失業率などが犯罪率との間で正の相関があることを実証

失業率や貧困率が犯罪との間で正の相関

犯罪率と地城の所得水準との間に逆U字の関係


生活のための犯罪では窃盗が多いと考えられる

一方、刑法犯も採用する



経済発展をコントロールするためのGDP成長率



失業者にとって、合法的な活動による所得より、犯罪による所得の方が高い


大学などにおいて、高等教育を受けた人はそうでない人に比べて、機会費用の視点から犯罪を避け、合法的に所得を得ようとする可能性が高い


所得の増加により犯罪の便益が低下

裕福な人は防犯対策にさらに投資する可能性が高い

→犯罪の費用が高くなる


警察官の割合という説明変数を採用する場合が多いが、総務省は、都道府県の警察管数は各都道府県の人口、面積、犯罪発生状況などの基準を考慮して決定される

したがって、日本国内の都道府県別データによる分析の場合であれば、さらにコントロールする必要性がないと考えられる。



生活保護制度は国民に最低限生活費を支給し、最低限の生活を保障しているため、生活のために犯罪をする可能性が低下すると考えられる。また、社会学のSocial Supportという理論により、生活保護制度である社会保障は国民のストレスを解消させる機能があり、ストレスによる犯罪も当然減少する。つまり、生活保護制度は国民の最低限の生活を保障しているのみならず、社会の安定にも貢献しており、効率的に犯罪を抑制


機会費用の視点から、高等教育を受けると犯罪しないことの方が効率的であると考えられる。よって、高校卒業者の進学率が高くなると、犯罪が低下していくのであろう。犯罪の抑制のために、大学進学への支援が必要であり、例えば、公的奨学金の拡充などである。進学の金的なコストが減少するほど、進学を選択する人が多くなり、地域の進学率が上昇していく一方、犯罪率も低下


生活保護制度が犯罪を抑制


生活保護被保護実人員の増加は都道府県の財政を過迫させる可能性があるが、人々の最低限度の生活を保障し、地域の貧困や格差状況を是正し、社会の安全を確保できるという利点も存在


給付費の引き下げや受給抑制によって生活保護受給者の生活が困難となり、犯罪率を間接的に高めてしまう可能性があるため、生活保護被保護実人員の減少による犯罪面への影響を再検討する必要性

全体的な教育水準の上昇が犯罪の抑制につながるため、奨学金制度の拡充など、大学進辛率の上昇が犯罪抑制策にもなり得る



犯罪率と所得との関係

犯罪クズネッツ曲線の検証


凶悪犯、粗暴犯、窃盗犯に関しては犯罪率と所得水準との間に逆U字の関係


所得上昇がある閾値の水準までは犯罪率の増加を促す恐れがあるものの、その閾値を超えた所得上昇は犯率を減少させる可能性があることを意味 


2011年の日本の所得水準(約275万円)を各犯罪の閾値と比較すると、凶悪犯(約240万円)、窃盗犯(約270万円)よりも高く、粗暴犯(約300万円)よりも低い状況であることが分かった。

しがたって、経済成長を前提とした場合には、 窃盗犯と粗暴犯への重点的対応が求められる。


人々の所得水準と犯罪行動との間には明確な負の関係があるといわれている。例えば、所得水準を表す指標として、賃金、貧困、失業を用いた研究があるが、これらの研究ではいずれも経済状況を表す指標と犯罪との間に有意な負の相関

経済状況が悪ければ犯罪率が高くなり、経済状況が改善すれば犯罪率が低下することが多くの実証研究によって示されている。

このことは犯罪者の犯罪に対する経済理論 (Cooter and Ulen、2004など)によっても説明することができる。

Cooter and Ulen (2004) によると、通常の賃金率が減少、あるいは自分が置かれた経済状況が悪化した場合、人々の犯罪に対する期待便益は相対的に高まることになる。そのため、このような状況では犯罪率が増加する可能性が指摘されている。

ただし、多くの実証研究で用いられているデータは犯罪者の個票データではなく、一般的な人々が居住する地域の集計データであることに注意しなければならない。地域ごとに集計された所得データはその地域の犯罪者の所得水準だけでなく、被害者の所得水準も含まれた指標となっているからである。

つまり、地域ごとの経済状況と犯罪との関係を見るには、犯罪行動の当事者だけでなく被害者側の状況についても注意する必要がある。


犯罪の被害者は加害者に比べて相対的に裕福であると考えられる

裕福な人の経済状況が良化すれば、犯罪者にとっての犯罪の期待便益も上がるため、犯罪が増加するかもしれない。さらに、人口密度が高く福福な人と遭遇する確率が高ければ、より犯罪率は上昇するかもしれない。

大都市における犯罪率が高い


2011年の日本の所得水準(約275万円)は凶悪犯(約240万円)、窃盗犯(約270万円)よりも高く、粗暴犯(約300万円)よりも低い状況であることから、もしも日本の所得水準が減少傾向にあるのであれば、凶悪犯、窃盗犯は増加し、粗暴犯は減少することが予想される。

一方で、風俗犯罪については所得との明確な関係を認することができなかった。Roth(1952)は性犯罪の動機は性的欲求を満たすことが主な原因と述べているように、経済成長と風俗犯罪との間には期待効用理論(Cooter and Uien、2004)が当てはまらない可能性がある。

最後に今後の課題について述べる。本研究では捉えきれなかった心理的要因などにも犯罪に大きく影響することは十分懸念される。そのため、犯罪率を減少させるためには補助金政策といった所得水準のみに依存した政策だけに頼るのは好ましくないといえる。犯罪対策には所得水準も踏まえつつ、様々な問題も合わせて研究していく必要


クズネッツ曲線の応用!

環境の外部性と経済成長との逆U字の関係=環境クズネッツ曲線

自然災害による被害と経済成長

著作権侵害と経済成長の関係

交通事故と経済成長との関係


過失がなくても離婚を認める法律


故意 わざと


熟年離婚防止ソング 愛のままで


離婚するか否か

抱き合う姿想像できるか


特に、女性の収入が男性よりも高くなってそうした女性が結婚を続ける利益がなくなったときには離婚率は上昇