彼と一緒に選んで、いっぱいろんなところに行った車から異音。ATの故障らしく修理には多額の費用がかかる。

大学生、私学の高校生を抱えたシングルマザーの私にはとても払えない金額。諦めるしかない。

車の寿命まで乗り続けるしかないカウントダウンが始まった。

ものは壊れ、人は死ぬ。

それが摂理だ。

夕飯を作る元気がなくて外食。

カラ元気を出してみたけど、そのままこたつで眠ってしまった。

久々に彼が夢に出てきた。

やっぱり痛がってた。苦しんでた。

変わった喫茶店でみんなでお茶している夢。

くじ引きでカラフルなゼリー菓子がたくさん当たったところで目が覚めた。


私にはもう、次の車を選んでくれる人はいない。

2人の娘の教育費を頑張って支払ったあと、虚しさが残りそうだけど、周りのみんなが元気でありますように。

絶望から回復するのは懲り懲りだ。

私は残された人生を楽しく生きる。

泣いても一生。笑っても一生。

たまに穴に落ちるけど、死別後の穴よりは浅い。



彼のお墓に共通の友人と行ってきた。

お墓のことは積極的に考えてなかった彼。

そりゃそうだよね。

考えたくないよね。

ある日突然の3ヶ月の余命宣告。

病状の急変。


彼の意向をすべて取り入れてないお墓が私は好きではない。

永代供養の区画にある墓石には、いい人生でした、来てくれてありがとう、と文字が並ぶ。

彼のお墓はシンプルに苗字だけ。

やっぱり無理だ。

私はまだ受け入れられない。

早過ぎるよ。


それでも、荒天予報の天気は雨足が早まり、曇り空に。蝶も蜂も舞う。

歓迎されているかのよう。

綺麗に掃除して帰ってきた。


知人とランチして帰る車中。

1人になると号泣してしまった。

しんどいな。

やっぱりしんどい。

会いたい。

話がしたい。

死別からある程度回復してもそう思う。

悲しいな。

引っ越しが決まった。

年末に必死に片付け。

職場も異動し、家も仕方ない理由ではあるが変わる。彼の思い出がどんどん薄まっていく。

もううんざりだ。

父には彼女ができて帰省時に会った。

周りはみんなパートナーがいる。

私だけが孤独。

別にパートナーが欲しいわけじゃない。

亡くなった彼に会いたい、ただそれだけ。


おせちを作り、次女の受験に備え北野天満宮にお参り。長女は巫女バイト。

表面上は、穏やかに笑うお正月。

でも神社でお祈りする私の中身は空虚なだけ。

願いは何もない。

人はみな死ぬのに。

どうして頑張らなきゃいけないんだろう。

だからこそ一日一日を大事に生きなきゃならないんだと言う人は、みんな幸せな人たちに見える。

そんなことはないんだろうけれど。


12月に西表に行った。

風が強くひたすら寒いだけのオフシーズン。

蛍が光っていた。

自然だけが心を落ち着かせてくれる。



何をしても何を見ても虚しい。

それでも動いて一つ一つこなしていく。

痛みがない体があるんだから。

彼の闘病中、

あれだけ色々なことがあったのに、

思い出すのは、腹水が溜まり痩せ、

抗がん剤の影響で痺れた手で

私の荷物を持ってくれる彼の姿。

持たせて、と。


負けないから。

今はそれだけ。