elderberry | vice versa

elderberry

ブルゴーニュ滞在中のある日、近所の森の中に入っていった。
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牧場にも入っていって、廃屋同然になっている建物の横に植えられたミラベルmirabelleという黄色くて小さくて丸いスモモを摘んだ。そのまま食べてみたが、酸味と甘みが強い。先生がこれをタルトにしたら、素晴らしく美味しかった。


他には、エルダベリーelderberryも森からたくさん採ってきた。

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枝についたまま収穫するとこんな状態だ。見るからにタンニンが多そうでエグそう。欧州ではこれが風邪に良いとされるらしい。確かにポリフェノールが多い果実だろうが、これ自身はちっとも甘くなかった。


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軒下で、こうやってプチプチと熟した実を取り外して集める。


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ちょっと見るとキャビアみたいだ。今度はこれをアク抜き(西洋のアク抜きはつくづくいいかげんだと思う)をしながら赤ワインと一緒に煮て、漉して砂糖を加えてエルダベリーのゼリーを作る。まあ、具のないジャムだと思えばいい。


最初、先生は目の細かいステンレスのザルで煮汁を漉した。これだと細かい繊維質が残って舌触りが悪いんだよな。でもガーゼも無いからこれでいいや、と言う。僕は台所にペーパータオルがあるのを知っていたので、先生それならザルの上にペーパータオルを敷いてから漉しましょう。ドリップコーヒーのペーパーフィルターを切らしたとき緊急でペーパータオルを使うけど、ちゃんと澄んだ液体になりますよと提案し、僕のアイデアを試してみた。結果は上々。大きなエルダベリー・ゼリーの瓶をひとつご褒美にもらって帰ることになった。


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午後のまだ暑い時間に煮物をすると大汗をかく。庭の水まきホースをシャワーにして行水すると気持ちいい。

ただ、ハエが水分を求めて来るのだけがウザい。牧場が近いのでこればかりはどうしようもないようだ。


ブルゴーニュの森で野苺を摘みました、とかいえば聞こえは良くてロマンチックだが、実際は汗まみれだった。汗まみれでも楽しいには違いない。だが2010年の夏は先生をカリフォルニアへ呼び寄せた。喜んで来てくれたのは、San Diegoにいる友人にも会えるという理由だけではなく、ブルゴーニュのハエから逃れられるのも大きかっただろうと僕は内心思っている。