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 夏の盛が近づく頃に メサイヤ親父が現れる
 満員電車のつり革すがり 開くは分厚い合唱譜
 あたりの視線を気迫で消して 追うや四分、八、十六音符
 刻むリズムが身体を揺らし 隣の乗客、後ずさり


 声こそださねど開けた口 吸い込む息の音、断末魔
 怖れおののき目を向けりゃ 上がった口角、悪の笑み
 我が子に見せるものあらず 割り入る母の親心
 駅名告げるアナウンス 降りる駅こそ待ちどおし


 迫る年の瀬、クリスマス メサイヤ親父の喉が鳴る
 楽譜を色取る蛍光インク 上に横にと殴り書き
 日に日に口もと激しく動き やがて“ハレルヤ”叫ぶなら
 それがほんとのメサイヤ親父 あなたの街のメサイヤ親父


 ララララー ラララー ラララララー

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