建設業において発生する労働災害で最も多いのは“墜落・落下事故で、ついで“建設機械・クレーンがらみの事故”、そして“構造物や土砂の倒壊・崩壊事故”と続く。
 以上三種の事故は建設業における三大災害と呼ばれ、これだけで業全体の労働災害の三分の二をしめてしまう。
 これについて、長年にわたり現場で安全管理実務を行ってきた者の、実感としての捉え方は以下のとおりである。

 1. 高い位置にあるものは危ない。
 2. 動いているものは危ない。
 3. 重いものは危ない。

 これを言い換えると、次のようになる。

 1. 位置エネルギーの高い状態は危険である。
 2. 運動エネルギーが大きい状態は危険である。
 3. 質量が大きいものは危険である。(位置エネルギー、運動エネルギーともに大きくなる)
 
 すなわち高いエネルギーを持つもの、あるいはそれを発生させる機能を持つものは危険であるか、あるいは危険を内包しているものと結論づけて差し支えないと考える。
 
 従って原発は、まず存在として”危険”である。
 ゆえに、これについての議論は以下のようなものとなるはずである。

 1. 危険である原発を稼働させるにあたり、事故を起こさないためにはどうするか。
 2. それでも事故を起こした場合、発生するであろう深刻な被害を最小限に抑えるためにはどうするか。
 3. 危険である原発を、それでも使い続けるだけの理由はあるのか。
 4. もっと危険の少ない、他の発電手段はないのか。


 久しぶりに技術者らしいことを書いてしまった。