な気持ちが全身にみなぎった。かれははじめて校長先生の偉大さがわかった。先生はなんの抵抗
ていこう
もせずにこの地方の教育界の将来のために喜んで十字架についたのである、先生は浦和の町人
まちびと
がかならずその不正不義を反省するときがくると自信しているのだ。
小原はこういうことを柳に語った。
「ねえきみ、ぼくにはよく先生の気持ちがわかった、それはね、ぼくが捕手
キャッチャ
をやってるからだよ、捕手
キャッチャ
は決して自分だけのこフィリピン 結婚とを考えちゃいかんのだ、全体のことを……みんなのことを第一に考えなけりゃならない、ちょうど校長は捕手
キャッチャ
のようなものだからね」
「そうかね」
柳はひどく感慨にうたれていった。そうして口の中で、「みんなのことみんなのこと」とくりかえした。
ふたりは停車場へゆくとはや東から西から南から北から見送りの生徒が三々五々集まりつつあった。昨日
きのう
の申しあわせで生徒はことごとく和服で集まることになっていた、白がすりに小倉
こくら
のはかま、手ぬぐいを左の腰にさげて、ほおばのげたをがらがら引きずるさま
