2.鉄の起源
鉄は青銅とともに最も古くから私たち人類によって用いられた金属です。
考古学が明らかにするように、石器時代、青銅時代につづいて人類は鉄器時代を迎え、
ようやく今日の文明の基礎を築く第一歩を踏みだすことになりました。
しかし、人類がはじめどのようにして鉄を知ったかについては、じつは確実な答えは得られていません。
現在、主に考えられている説は (1)鉄隕石起源説 と (2)自然冶金説 の二つです。
治金(ちきん?)ではなく、冶金(やきん)です。
偏はさんずいではなくにすいです。
鉄隕石というのは隕石の一種です。古代人は空から降ってきた鉄隕石を加熱したり、
加工したりして、珍重していたと考えられています。これが鉄隕石起源説です。
これに対して、自然治金説では、地球上のあちこちに産出する鉄鉱石が
山火事やたき火などによって偶然に半溶融状になったものを、古代人が打ったり、
叩いたりしている間に、徐々に鉄の利用技術を知ったと考えられています。
紀元前5000年頃のものといわれる、古代オリエントのメソポタミア地域の鉄でできた装飾は
鉄隕石でつくられたと考えられています。
その後、ヒッタイト王国では鉄鉱石から鉄を取り出すことに成功し、
さまざまな道具や武器をつくり、繁栄をとげたと言われています。