12月になって、Rは予備校に来るようになりました。

この頃だと、思います。Rとの結婚を考えたのは。

 

Rは「一緒にいれば、それでいい。」と言っていましたが、

「それは、まずい。」と思い、母にRと結婚する事を伝えました。

19歳の時です。

 

母は、「あんた何ば言ようとね。まだ、19やないね。」と言われました。

そうですよね。結婚するには早いですよね。

でも、その時、私はRとの結婚を真剣に考えていました。

大学入学と同時に結婚して、一緒に住んで・・・・・

私は、Rのミュージカル女優になるという夢を支えようと思いました。

 

でも、12月になってからRに変化がありました。

なんとなく、元気がない様子でした。

Rから切り出したと思います。

「私、東京に行かれんくなった。」と・・・・・

二浪だったので、両親が東京の大学を受験する事、そのものに

反対したようです。

 

えっ、えっ・・・・・・

東京でミュージカル女優を目指す夢が断たれたって事・・・・・

 

そして私はRに言いました。

「俺は、東京の大学を受け通るけん」と。

Rには、地元の大学を受けるように言いました。

私は、それでいいと思いました。

私には、第一希望の九州大学がありますから。

私が九州大学に通って、Rが地元の大学に通れば、

そのあとも交際を続け、結婚すると信じていました。

 

Rの第一志望は、早稲田大学第一文学部でした。

そこで演劇科に入り、演劇の勉強をし、ミュージカル女優になるのが

Rの夢でした。

私は、理系です。第一文学部を受けても合格する自信はありません。

そして、心に決めました。

早稲田大学理工学部を受けて、合格した事をRに伝える事を。

 

Rからクリスマスプレゼントを貰いました。

私は、何をあげたのか覚えていません。

ペン立てでした。

そのペン立て、今、私のピアノの上に乗っかっています。

そのペン立てが入っていた箱には、Rとのタイムカードでのやり取りメモが

ぎっしり詰まっています。