
創業時から磁気関連製品に注力してきたOTARIは
スタジオ用オープンリールデッキを中心として市場に送り出してきたが、
純粋なプロユースタイプはこのMTR-15シリーズで終焉を迎えた。

最終モデルにふさわしく、またもっとも発表が近代であるためか
結果として走行系はMTR-10や12に比べてやや簡素化されたものの
制御系の多くはマイクロコンピューターを積極的に取り入れ
アナログの欠点をデジタルで補う技術が施されている。
モータコントロールは基本としてテープバイアスなどもテープ特性に応じて
自動調整可。調整後のデータは4つまでRAMに記憶し、且つ瞬時に呼び出せる為
テープ銘柄を固定しなければならないなど、従来からあった制約から解放された。
自動調整後は好みに応じて昔のようにユーザー側で調整することも出来たが
半固定ボリュームをドライバーでいじくるのではなく、やはりこちらも
液晶パネルからの打ち込みとなり調整のたびに
本体を開けるなどの手間とは無縁となった。

ヘッドアンプやイコライザーも設計が新しく、リファレンスレベルや
ドルビーHXプロなどの設定もすべて液晶付の専用パッド上で設定する。
スタジオ最初期から最後期までのテープ(185~510nWb/m=0VU)を
適正なレベルで再生が可能となっている。
また仕様も豊富であり、1/4はNAB/DINヘッド搭載可。ハーフインチも用意され
ヘッドブロックとローラーを入替えれば簡単に両対応とすることも出来た。
写真はリファレンスレベルをスタジオ最後期510nWb/m=0VUとして
Recording The Masters(RTM) SM900、スピード30ips(76.2cm/s)で
録再テストしているところ。
かなりのレベルを叩き込んでるがこのくらいのデッキと現代のテープ性能だと
走行速度も相まって、歪んだりテープヒスが目立ったりといったことは皆無。
そもそもドルビーノイズリダクションが全域において不要である。
走行性、耐久性、静音性、音質いずれも不満は少ない
(もちろん重量と空冷ファン音、その他電気代除く)
完全に調整されたアナログ機のような濃い魅力はないけれど
性能を追求した結果と考えると1つの終着点といえる。