- 私の男/桜庭 一樹
- ¥1,550
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直木賞受賞。
最初、あらすじやコピーを見たときには
この本はきっと好きになれないという思いに
とらわれてしまいました。
「おとうさんからは夜の匂いがした」とか
モラルを無視した愛だとか
そういう手の暗いヘヴィーな表現を
エンタメ作品とされることに個人的に抵抗があるので。
でも、話題作なら一応読んでおくか程度の気持ちは
一章目から覆されました。
絶対に私は好まない世界なのに
妙に表現や文字使いに心惹かれるというか。
花という娘と淳悟という父
結婚相手となる男性、父の元カノなど
人の目線を変えながら時を遡っていく表現にも
特に意味を見出せないけれど
エモーショナルに針が振り切れていないところが
かえって好感を持てました。
この一冊の中に誕生から死まで描かれているという点も
私的にはある意味深さを感じたという部分もあり。
ここのところの受賞作としては、ちょっと毛色を変えて
面白いところをもってきたなという印象です。
選考委員が変われば変わってくるもんですけどね。