斬られ権佐 | 丸の内OLの生活

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著者: 宇江佐 真理
タイトル: 斬られ権佐

宇江佐さんの作品はぴゅりの精神安定剤。


お江戸人情モノの中でも
今回は初めてウググ・・・と涙が。
作中人物が生き生きとしていて
そのキャラで次々と新しい作品を生み出すのが
宇江佐パターンだと思っていたので
単刊終了っていうのはオドロキでもあり
潔さが良い部分でもあり。


兄のように慕う武家が、恋い慕う女医の話を
聞きつづけてきた権佐は
いつのまにか自分もその女医に恋心を抱く。
ある日、彼女が襲われている場面に遭遇した権佐は
相手に斬られてもひるまず、彼女を守りとおす。
その時の切り傷の数、88。
助かるわけがないと思われた権佐ではあるが
治療しながら彼女に、「一緒になるから頑張って」と励まされ
命をとりとめ、二人は約束どおり夫婦となる。
その後権佐は、武家の下っぴきをしながら
生き始める。
常に、切り傷による痛みや辛さを伴ないながら。


で、権佐が捕り物に関わったり
解決したりする問題が短編連作で
収められている本なのですが
切り傷で恐ろしい形相になってしまっても
心は変わらない権佐がいいんですよ。
オトナになっていく姿というのか。


江戸モノって、誰が書いても結構
良心的な気がするんですが
今が荒んでるってわけじゃあないと思いたい。


人の心って時間と密接に関係していると思うこの頃。
JR西の運転士だって、時間にゆとりがあれば
こんなことには・・・って思う。
暇すぎてもいけない。
暇だと考える時間が多すぎて、哲学者のように
思考の庭で遊べる人以外は
余計なことを考えすぎたり、
堂々巡りの自己嫌悪に陥るように思う。
何も考えなくなっては成長は望めないし
忙しすぎると思いやりを忘れてしまう。


役割を与えられていない人は
自暴自棄になり
与えられすぎている人は
割に合わないとこぼす。


こういった微妙な部分のさじ加減が、
江戸モノではうまくできているように思う。
そういうさじ加減は
誰かに委ねることなど出来ないのだから
ぴゅりはぴゅりなりの時間軸を大切にしたいな。
(最近やや狂っているので自省の意味を込めて)