イギリスが「太陽の沈まない国」と呼ばれた時代に誕生したIPA


ビールの基本原料であるホップは、ビールに苦みや香りを与える役割のほか、雑菌の繁殖を抑える働きもある。
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IPAというスタイルは、強いホップの苦みと高いアルコール度数(5%~7.5%)が特徴のビールです。

「インディア・ペール・エール(IPA)」の「インディア」は「インド」のこと。IPAの誕生は、イギリスがインドを植民地にしていた時代に遡ります。イギリス本国から植民地インドまでビールを運ぶには、赤道を越え、アフリカ大陸の最南端をまわり、もう一度赤道を越えるという、過酷な気候の下での半年近くにもおよぶ航海が必要。当時は保存技術や冷蔵技術が発達していなかったため、インドに到着する頃には、ビールは劣化し、腐敗してしまうこともあったそうです。

そこで、バクテリア(雑菌)の繁殖を抑えて保存力を高めるため、通常のペールエール(代表的なものは「バス・ペールエール」)よりも麦芽を多く使用してアルコール度数を高め、バクテリアの繁殖を抑える働きをするホップを大量に加えたビールが、インド帝国向けに造られるようになりました。これが「インディア・ペールエール」の由来です。

現在のIPAは、当時のものよりもアルコール度数も苦みも抑えられ、飲みやすいビールになっています。