オアシス（’０２）
監督：イ・チャンドン
ひき逃げ事故で服役し刑務所から出たばかりの
青年ジョンドゥ（ソル・ギョング）は
家族の元へ戻りますが厄介者扱いされてしまいます。
ある日、被害者家族のアパートを訪れたジョンドゥは、
被害者の娘で家族に置き去りにされた
重度の脳性麻痺を持つコンジュ（ムン・ソリ）と出会います。
二人は互いに惹かれ合い、純粋な愛を育んでいくのでしたが…。
今、流してる涙は一体、何の涙なんだろう…。
前科者の社会不適合者の男と重度の脳性麻痺の女性という
社会から疎外された男女をここまで踏み込んで描いている
作品というのは、そうはないです。
人間の魂と魂が触れ合うって、こういうことをいうんですね…。
脳性麻痺のコンジュの描き方も見るに忍びないと思わすほどで
この監督、逃げていないな。
正面から描こうとしているなと感じさせてくれます。
コンジュは体が不自由な分、空想世界に身を投じ
鏡で反射した光をモンシロチョウに見立て空に羽ばたかせる。
ジョンドゥに外に連れ出してもらうと、
周りにいるカップルがじゃれ合ったりしているのを見て
さっきまで車椅子のお世話になっていたコンジュがすっと立ち上がり
健常者の姿でジョンドゥにちょっかいを出す。
そして、ジョンドゥが夢に見たという「オアシス」の光景が現れ
二人は踊り、戯れ、熱い口づけを交わす…。
現実世界から空想世界へ変わり
障がい者から健常者へすっと切り替わる瞬間は
思わず鳥肌が立ってしまいました。
この監督、絶対「ダンサー・イン・ザ・ダーク」に影響を受けましたね（笑）
重度の脳性麻痺の女性を演じたムン・ソリは
実際にリハビリセンターで働いて反映させたという
彼女の演技を超えた姿は衝撃的です。