運命は踊る(’17)
監督:サミュエル・マオス
原作は戯曲なのか?と思わすような、三幕構成の不条理劇。
「息子さんが戦死しました」
人生最悪の時を迎えた父母。葬儀のお知らせまでしていたのに
「ごめん、ごめん、間違ってた。息子さん生きてます」
悪い冗談にも程がありますよね。
家族の張りつめた緊張感とは対照的に、戦地の息子は
検問所にラクダがのんびり通り抜けるような、スローライフを満喫(笑)
ラクダをはじめ、戦地とは思えないシュールなシュチュエーション。
張りつめて、緩める、そしてまた張りつめる。緊張と緩和が絶妙です。
息子が無事だったんだから、結果オーライじゃない?
第三幕で、彼らの運命が予期せぬ方向に踊り出すんです・・・・。
世紀の光(’06)
監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン
パルムドールを獲った『ブンミおじさんの森(’10)』が
私の中では、う~~ん・・・・って感じだったんですけど
言ってしまうと、前半の話を後半で舞台を変えて繰り返すんです。
おんなじ台詞を繰り返し、あ、でも、違う話になってきて(何なのコレ?)
思ったんですけど、私たちが見る夢の中では
現実のシュチュエーションの中に虚構が入り混じっていたりしますが
それと似てますね。辻褄が合わないところも(笑)
あと、観てる自分が幽霊になったような感覚・・・・とでも言うんでしょうか。
目の前で起こっている出来事(大した出来事じゃないけど)を
ただ、漫然と眺めているだけ。この監督の独特な死生観です。
危険な関係(’59)
原作:コデルロス・ド・ラクロの同名小説
監督:ロジェ・ヴァデム
私は、ロジェ・ヴァデムのことがあまり好きではない。
映画監督はあくまで副業で、コイツの本業は
綺麗どころの女優をはべらすことではないかと思っていたのだが・・・・。
この作品に限っては素晴らしい
原作が面白いから いや、それだけではない。
ジャンヌ・モロー×ジェラール・フィリップ、2大スター共演
さらには、ジャン=ルイ・ティニャン、当時の監督の嫁アネット・ヴァデム
『うたかたの日々』のボリス・ヴィアンまで出てたから
いやいや、2大スター共演とかは逆にスカスカなことが多い(笑)
“退廃的”といっても、あまりにゲスいと引いてまうけど
これはまさに私の大好物な“毒があって艶がある”映画です
毒っ気にも品があって、艶(つや)やか、というより艶(なま)めかしい
モダンジャズもかっちりハマってたし、カメラワークも
どうしちゃったのっていうぐらい流麗でした(笑)
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