オン・ザ・ミルキー・ロード | Untitled

オン・ザ・ミルキー・ロード(’16)セルビアイギリスアメリカ

監督:エミール・クストリッツァ

 

 

そういえば、最近、見かけてなかった・・・・。

 

エミール・クストリッツァ、9年ぶりの長編劇映画は

“イタリアの宝石”モニカ・ベルッチを迎えて、主演は・・・・俺!(笑)

 

『サン・ピエールの未亡人』でも、いい味出してたから、全然OKですよ。

 

 

隣国と戦争中のとある国。

右肩にハヤブサを乗せたコスタ(エミール・クストリッツァ)は

村からの戦線の兵士たちにミルクを届けるため

毎日、銃弾をかわしながらロバに乗って前線を渡っている。

 

ある日、ミルク配達の雇い主のもとに、謎めいたイタリア人美女

(モニカ・ベルッチ)が花嫁として、やってくる。

コスタと花嫁は急速に惹かれ合うのだったが、コスタの人生は一変する。

 

この花嫁、実は、“お尋ね者”で、それが原因で村が襲撃され

2人は危険な冒険の旅へと身を投じることに・・・・。

 

 

クストリッツァ作品では、お馴染みのガチョウが群れをなして走り回り

バスタブに溜められた、さばかれた豚の血で水浴びをする。

鏡の前でぴょんぴょん飛び跳ねている鶏が、ぽこんぽこん卵を産む。

 

クストリッツァ作品に馴染みのない方は面食らってしまうかもしれない。

ただ、彼独自の世界観を理解しようとしてはいけない(笑)

破天荒、奇想天外・・・・ そういう人なんです。

 

“アラフィフ”モニカ・ベルッチの花嫁は、さすがに無理がないか?

そんなこと思ってはいけない(笑) キャストクレジット“花嫁”なのだから。

花嫁衣装で、川に潜るわ、泥にまみれるわ、体張って汚れ仕事してます。


 

笑ってしまったのが、銃弾をかわしながらミルク配達していたコスタが

かわしきれなくて、顔を銃弾がかすめて片耳が取れちゃうんです。

普通に耳を拾った時点で可笑しいのですが、戻ってきた耳なしコスタを

見かけた“花嫁”が、ちょっと待ってて~って、裁縫セット持ち出して

ボタンみたいに縫いつけるんですよ。コスタは、アイタタタ・・・って顔して。

 

紛争の最中、そういった能天気さが、たまらなく好き~。

 

その後、2人の道行(逃避行)へと移行していくわけですが

大木の狭間に身を隠していた2人が、突然、ふわ~~っと宙に舞ったり

滝の上から飛び降りて、追っ手から逃れたりして

いやいや、ありえんから・・・・には、ならないんですよね。

 

そうなることが必然だったかのように、かつ、幻想的に見せています。

 

クライマックスの、羊と地雷原のくだりは、相当ぶっ飛んでます。

いやいや、ありえんから・・・・と、つぶやきながら

クストリッツァのマジカルな世界に引き込まれてしまうでしょう。

 

 

 

エミール・クストリッツァ、9年ぶりの新作長編 。

溢れ出る圧倒的なエネルギーと、予測できない奇想天外なストーリー。

戦争が終わらない国を舞台に、ミルク運びの男と美しい花嫁の愛の逃避行を描いた作品。