クローズ・アップ  | Untitled

クローズ・アップ(’90)イラン

監督:アッバス・キアロスタミ

 

 

’16年7月4日に死去したアッバス・キアロスタミ。

その後、日本でも追悼上映されておりましたが、唯一の救いは

長らくソフト化されていなかった幻の作品が続々とリリースされ・・・・

 

これだけかいっ!!

 

 

テヘラン。自分は映画監督のマフマルバフだと身分を偽った罪で

逮捕されたサブジアン青年。彼に興味を持ったキアロスタミは

刑務所へ面会に行き、被害者であるアハンカ家へのインタビューを行う。

 

やがて裁判が始まり被害者はサブジアンが家族を騙して

窃盗を計画していたと証言する。

そして、映画は再現場面へと切り替わる。

 

なぜ、サブジアンはこのような詐欺を働いたのか・・・・?

 

 

実際に起こった事件をドキュメンタリーと劇映画的再現映像を織り交ぜて

しかも、事件の当事者を出演させて演じさせるという・・・・。

 

キアロスタミお得意の、やらせ的?演出も含め真の実像に迫ります。

法廷での撮影許可をもらい、被告の青年を“クローズアップ”する。

 

彼らは演じているけど、その人そのもので・・・・

 

その人本人だけど、どこかで自分を取り繕っている。

 

虚構と実像の境界線・・・・ もはや、そんなものはない。

 

何が“虚”で、何が“実”なのか・・・・

 

キアロスタミが伝えたかった、真の実像とは何だったのか・・・・


 

映画監督になりすましたとされる青年サブジアン(実名)は

ヘタな映画監督より“映画愛”に溢れていて

いつかは自分も映画を撮ってみたい、演じてもみてみたい・・・・。

 

そんな青年の想いがバスで隣に座った老婆に

小さなウソをついてしまい、そして、裁判沙汰にまでなってしまう・・・・。

 

キアロスタミのカメラで“クローズアップ”され、想いを語る青年は

無職で貧乏な青年ではく、実は気高い映画人なのではないか・・・・?

 

そんな気さえしてくる・・・・。

 

 

 

 

人は皆、誰かを演じている。
実際に起こった事件を劇映画的再現映像とドキュメンタリーを交差させて描く異色作。
『桜桃の味』『友だちのうちはどこ?』の名匠アッバス・キアロスタミ監督の傑作。