ドリアン・グレイ 美しき肖像 | Untitled

ドリアン・グレイ 美しき肖像(’70)イギリスイタリア国旗ドイツ国旗

 

原作:オスカー・ワイルドの小説「ドリアン・グレイの肖像」

監督:マッシモ・ダラマーノ

 

オスカー・ワイルドの唯一の長編小説を大胆に脚色!

 

“大胆に脚色”って、原作愛好家からの批判をかわすための

予防線のようにも・・・・なんて、うがった見方をしてしまいますが

今回、併せて読んでみた原作は原作で素晴らしかったし

肖像画を視覚で捉えた映画は映画で良かったんじゃないでしょうか。

 

なんてったって、ドリアン・グレイがヘルムート・バーガーなのですから。

 

 

美貌の青年ドリアン・グレイ(ヘルムート・バーガー)は

友人の画家バジル(リチャード・トッド)のモデルを務めていた。

やがて、“ドリアン・グレイの肖像”画が完成する。

画商ヘンリー(ハーバート・ロム)をはじめ、肖像画を見た者は

例外なくその傑出した出来に魅了された。このときドリアンは

画は若いままなのに、自分は老けてゆくと不平を漏らす。

やがて、頽発的な思想の持ち主ヘンリーに感化され

次第に堕落した生活に身を投じていくドリアン。

すると、肖像画にある変化が起きはじめる・・・・・・。

 

 

この世に存在する美の裏側には

必ずどこか悲劇的な要素が潜んでいる。

みすぼらしい花が一輪咲くにも、

世界は陣痛に苦しまなければならない。  原作より

 

やはり、ヘルムート・バーガーは美しい・・・・ぽっ

この美しさがないと、作品自体、成り立たないですからね。

少し前にも映画化されてたみたいですけど・・・・ああ~ダメダメ!

 

原作では、ドリアンと二人の男性との関係を、それとなく匂わして

読者の想像力を掻き立てていましたが

映画では、セクシー女優が次から次へと出てきて絡む絡む(笑)

ま、とにかく視覚に訴えたかったのでしょう(お色気大作戦~!)

ドリアンが女を誘惑するシーンとか、やや失笑することも・・・

 

男性相手では、トイレで連れションしている背後を1ショットで

すべてを完結させた画は、なかなか良かったですね。

女性との絡みに時間を割き、男色の方はちゃっちゃっちゃ~と(笑)

それがかえって、思わぬ効果をもたらしてくれています。

   


 

感覚によって魂を癒し、魂によって感覚を癒す。

 

原作では、ヘンリー卿の機知に富んだ会話がお気に入りだったので

映画の中にも多く取り入れて欲しかったけど

あくまで視覚に訴える映画ですからね(舞台ならイケるかも)

縁故の女優も出さなきゃならなかったみたいだし(笑)

 

あ、でも、舞台が’60年代後半のロンドンということもあって

この時代の風俗、ファッション、いわゆる “スウィンギン・ロンドン”ね。

ヒッピーの女の子が登場したりと、別の愉しみ方ができました。

 

若さと美しさを保ち続けるために、魂を売り渡したドリアン・グレイ。

そんな美青年を演じた当時26歳のヘルムート・バーガー

現在の姿を知っているだけに、何だか複雑な想いも・・・・・

 

 

 

オスカー・ワイルド唯一の長編小説『ドリアン・グレイの肖像』の時代設定を19世紀末から現代に移し替え

原作に漂う頽廃的雰囲気と性的要素をよりあからさまに強調した異色編。

 

 

オスカー・ワイルドの「サロメ」は絶対に読んでみたいっ。