ティエリー・トグルドーの憂鬱 | Untitled

ティエリー・トグルドーの憂鬱(’15)フランス国旗

監督:ステファヌ・ブリゼ

 

 

日本日本の失業率3.18%に対し、フランスフランス国旗は3倍強の9.84% 

                                  ※IMFによる’16年10月時点の統計

 

失業問題だけでなく、資本主義経済の歪みに切れ込む社会派映画

どこにでもいる中年男、ティエリー・トグルドーの憂鬱が続く・・・・・

 

 

長年勤めていた会社から解雇されたティエリー・トグルドー

(バンサン・ランドン)は、職安に通い、ようやく大型スーパーの

警備員の職に就く。買い物客だけでなく、スーパーで働く同僚たちの

不正も監視し、会社へ告発するのが、警備員としての役目だった。

ティエリーは会社側の厳しい対応に疑問を覚えるようになり・・・・・

 

 

いくら日本より手厚い失業手当を受けれると言っても、家族を養い

ローンの返済、息子の教育費・・・・・いつまでもブラブラしてられない。

 

主人公ティエリーが警備員の職に就くまでが困難の連続で

職安で無駄な職業訓練させられて文句言ったり、銀行の融資担当と

資金繰りの相談したり、自宅でスカイプを使った面接をして

やんわり不採用宣告されたりと・・・実はティエリーの相手方の人たちは

役柄と同じ職場に実際に働く人を起用していたらしい。

 

職安の担当者はマニュアル通りの返答しかせず、文句言っても

堂々巡りになってしまう、“お役所あるある”をそのまま再現している。

銀行の融資担当者も親身に相談に乗っているように見えて

さりげなく、生命保険の加入を勧め融資額を担保しようとする。


 

笑ってしまったのが、再就職セミナーらしきものにティエリーが参加して

彼の模擬面接に参加者の意見を聞くというシーンで

「答えがおざなり」 「心ここにあらず」 「笑顔がなく冷たい」

もう、こてんぱんに叩きのめされてしまうんです(笑) つらいな~

 

で、唐突にスーパーで警備員として立つティエリーが映し出される。 

いわゆる “スライス・オブ・ライフ(日常の断片)” というやり方

もしくは、飛距離の長い “ジャンプ・カット” とも言えるかもしれない

                                   (高梨沙羅かっ)

さまざまなシーンを、ブツ切りにして、観客に突きつけてくる。

 

やっと職を得ても、ティエリーは「誰でも疑ってかかれ」を強いられる。

この大型スーパーは、早期退職者が少ない。

30年だか40年勤めた女性が定年を迎え仲間から温かく見送られる。

労働者から見たら働きやすい職場ともいえるが

会社側から見れば人件費の抑制のため人員の入れ替えが必要。

些細な不正が見つかれば即解雇しようという目論み・・・・・・。

 

そして、ティエリー・トグルドーの憂鬱は続く・・・・・

 

 

 

 

 

ミニシアター作品として仏で異例の大ヒット。

「100万人が観た圧巻の社会派ドラマ」これは社会に生きるすべての人々の映画である。