コルチャック先生 | Untitled

 

コルチャック先生(’90)ポーランドドイツ国旗フランス国旗

監督:アンジェイ・ワイダ

 

 

小児科医で児童文学作家、さらには孤児院の院長でもあった

 

ユダヤ系ポーランド人、ヤヌーシュ・コルチャック(1878.7.22~1942.8.-)

 

最期の最期まで、子供たちを守ることに全てを捧げた生きざまを

 

もうこの人しかいないでしょっ。 アンジェイ・ワイダが映像化。

 

 

ユダヤ人の小児科医、コルチャック(ヴォイツェフ・プショニャック)は

 

孤児院の院長として子供たちを守り育てることに喜びを見出していた。

 

しかし1940年、ナチスの侵攻により、ユダヤ人はポーランド人社会から

 

切り離されゲットー(ユダヤ人隔離地域)に送られることになった。

 

コルチャックの孤児院も例外ではなかった。 過酷な状況にあっても

 

彼は子供たちに食料を与えるために奔走する・・・・・・。

 

 

コルチャック先生は、ユダヤを示す腕章を巻くのを頑なに拒み

 

ドイツ語ペラペラだけど、ドイツ兵から話しかけられても

 

絶対ドイツ語で返答しない。 そんな毅然とした態度がゆえに

 

ゲシュタポ(ナチス秘密国家警察に捕まるのですが、ドイツ人軍医が

 

「あなたの講演に感銘を受けました」って便宜を図ってくれたりする。

 

孤児院に戻って来たコルチャック先生に子供たちは大喜びで

 

みんなで連なって電車ごっこする光景はとても微笑ましいのですが

 

これ・・・・ 何の暗示か、勘のいい方ならお分かりですよね。

 

孤児院の中で子供たちに演劇をさせるのですが、演目のテーマは“死”

 

小さな舞台上での “死” を、つぶらな瞳で見つめる子供たち・・・・・

 

 

コルチャック先生の独白で印象的だったのが、飼っていたカナリアが

 

死んで、お墓に十字架を立ててやろうとするけど、そのカナリアは

 

ユダヤだから十字架は立てられないと怒られたというエピソード。

 

自分にも仲間のユダヤ人たちにも十字架は立てられないのだろうか・・・

 

戦況は悪化し、ゲットー内では日に日に瘦せてしまう子供たち・・・・・

 

食料や資金を調達するため、街に出て奔走するコルチャック先生

 

映画の中で時折、実際の映像も挟み込まれて、通りに横たわる

 

子供の死体がリアカーに積まれて運ばれていく・・・・・。

 

こんな状況下でも悪知恵を働かせて、金儲けするユダヤ人もいて

 

手段を選べないコルチャック先生は、そんな彼らから献金を募る。

 

地下組織の人間に「あなたには誇りはないのですか?」

 

「誇りなどない。あるのは200人の子供たちだけだ・・・・・」

 

コルチャック先生は“名士”ですから、周りからの根回しで匿ってくれたり

 

アメリカ行きの偽造パスポートを用意してくれたりするのですが

 

そんなものは総スルーで、子供たちと運命を共にすることを選ぶんです。

 

ラストは、アンジェイ・ワイダの優しさが溢れていて

 

涙なしでは観れないですっ汗

 

 

 

 

20世紀が生んだ偉大な人道主義者「コルチャック先生」の半生を、深い敬意と共に描く。
アンジェイ・ワイダの誠意と祈りが全編に満ち溢れる 。