クレーヴの奥方 | Untitled

 

クレーヴの奥方(’99)ポルトガルフランス国旗スペイン

 

原作:ラファイエット夫人の同名小説

 

監督:マノエル・デ・オリヴェイラ

 

 

原作小説は、17世紀の宮廷婦人によって書かれたもので

 

“恋愛心理小説の祖” とも言われ、フランス文学史を語る上でも

 

“「クレーヴの奥方」から~まで”という具合に挙げられる先駆的な小説。

 

そんな古典小説を難儀しながらも読みきりましたよぉ。

 

真の “貞淑” とは・・・・“クレーヴの奥方”がお示しくださいました。

 

さすがに、この時代には生まれてなかったオリヴェイラ監督が

 

17世紀の宮廷から現代のパリに舞台を変えて映像化。

  

 

現代、パリ。とある宝石店で、クレーヴ伯 (アントワーヌ・シャペー) は

 

シャルトル夫人(フランソワーズ・ファビアン)とともにいた娘の

 

カトリーヌ (キアラ・マストロヤンニ)を見初め、2人は結婚する。

 

その後、彼らは財団の夜会でゲストとして招かれたロック・シンガーの

 

ペドロ・アブルニョーザ(本人)と会い、彼と“クレーヴの奥方”は

 

互いに惹かれ合うようになる。夫の愛情に感謝と尊敬を抱きつつも

 

アブルニョーザに道ならぬ思慕に思い悩む“クレーヴの奥方”。

 

ついに彼女は断ち切れぬ恋の苦悩を夫に打ち明け

 

心の支えを求めるのだったが・・・・・・。

 

 

オリヴェイラ作品の常連で、世界的ピアニスト、マリア・ジョアン・ピレシュ

 

による美しい旋律。 最愛の母を失い、喪服姿で伏し目がちに

 

憂いに満ちた表情を浮かべる“クレーヴの奥方”

 

舞台を現代に置き換えても、原作の世界観を・・・・・

 

と言いたかったのですが、“クレーヴの奥方”が心惹かれる相手が

 

原作の宮廷の花形貴公子に対し、ハゲあがった頭にサングラスを

 

かけたロック・シンガー。私は存じあげませんけど本人もアーティストらしい。

 

彼のキャラクターは一歩間違えば、コメディになりかねないところですが

 

敢えてイケメンを使わず、“クレーヴの奥方”とは全く別の世界の男を

 

据えようという、オリヴェイラ監督なりの狙いがあったのでしょう。

 

 

“クレーヴの奥方”の心の葛藤を友人である修道女に打ち明けることで

 

内に秘められた思いを、修道院という神聖な場所で映像化している。

 

中間字幕を頻繁に差し込むことで、物語に独特のリズムを生み出し

 

また、夫に告白したリュクサンブルール公園に再び訪れた

 

“クレーヴの奥方”が鉄柵越しに移動していき、公園にアブルニョーザが

 

偶然居合わせたのを見やった奥方が急いで引き返し

 

鉄柵が逆方向にスライドしていくシーンは、溝口健二の映画で

 

よく見られる素晴らしいシーンだった。

 

“クレーヴの奥方”には、これ以上ないサラブレット、キアラ・マストロヤンニ

 

誰と誰の娘かはいちいち説明しません(笑) 目元がお父さんそっくり~

 

 

 

 

17世紀フランスの古典的恋愛小説を、 マノエル・ド・オリヴェイラ が現代に置き換えて映像化

人に恋焦がれることを知らずにクレーヴ伯と結婚したクレーヴの奥方。ゆえに夫には尊敬以上の感情を持てずにいた。

ある日、ロック歌手のペドロ・アブルニョーザと出会い、急速に恋に落ちていくクレーヴの奥方だったが…。