キャロル | Untitled



キャロル(’15)アメリカイギリス

原作:パトリシア・ハイスミスの小説「The Price of Salt」

監督:トッド・ヘインズ


「心に従って生きなければ人生は無意味よ」

まだ観ていないのに、大好きな映画なんですっ!って気が早ってしまうほど(笑)

心待ちにしていた映画です。 やっぱり、大好きな映画なんですっ!

ケイト・ブランシェットとルーニー・マーラの対照的な美しさにうっとり祈り



1952年、ニューヨーク。

高級百貨店でアルバイトをするテレーズ(ルーニー・マーラ)は

クリスマスで賑わう売り場で、そのひとを見た。鮮やかな金髪。艶めいた赤い唇。

真っ白な肌。ゆったりした毛皮のコート。そのひともすぐにテレーズを見た。

彼女の名はキャロル(ケイト・ブランシェット)。このうえなく美しいそのひとに

テレーズは憧れた。しかし、美しさに隠された本当の姿を知ったとき

テレーズの憧れは思いもよらなかった感情へと変わってゆく・・・・・・・。



「あなたは不思議な人ね。天から落ちてきたよう。」

テレーズの勤めるオモチャ売り場で、キャロルと運命的な出会いを果たすわけですが

艶やかなブロンドの髪にミンクのコート、スカーフや口紅に赤いアクセントをつけ

完璧なたたずまいで登場するケイト・ブランシェット。宝塚の男役のようです。

会社から支給されたサンタの帽子を嫌々、被らされていたテレーズは

キャロルが帰り際 「その帽子、可愛いわよ」 って言われて、ぽっ っとなってしまう。

そんなテレーズの表情に、今度は私が ぽっ っとなってしまう(笑)

ルーニー・マーラ、ほんと可愛いっ(ピアスだらけの彼女は見たくないなぁ)

1950年代のクラシカルな色調も、二人の美しさを際立たせていました。

でも、この時代の“同性愛”はダブーだったから(精神疾患として扱われていた)

この物語は、リアル '50年代では絶対に描くとはできなかった。



作品全体が上品で美しい作りなので、性的表現をどのように描くか・・・・・・

大胆な描写になってしまうと、そこだけに注目されて台無しになってしまう恐れもあり

非常に気を使ったと思いますけど、彼女らの何気ない仕草に、性的な香りが・・・・・

キャロルは何度となくテレーズの肩に手を置きます。そして、テレーズの微妙な反応。

ここで言う “微妙” とは、現在、定着してしまっているビミョーの意味ではなく

本来の意味である 「何ともいえない美しさや味わいがあるさま。」

テレーズの表情がすべてを物語り、二人はすでに一線を越えてしまったとも言えます。

そして二人は “道行” のような小旅行に出るんですけど

シャワーを浴びてるキャロルがテレーズに「青いセーター取って」とお願いする。

テレーズはキャロルの旅行カバンの中に触れ、彼女の服を取り出し

顔を思いっきり埋めて“それ”の匂いを嗅ぐ(最初の方で香水の匂いを褒めていた)

グザヴィエ・ドラン『胸騒ぎの恋人』 でも同じことやっていました。

匂いって触れるより、その人をより強く感じることができますよね。

このシーンが最も性的で、見てはいけないもの見てしまったという感覚に・・・・・

その後のベッド・シーンは、私にとってはオマケみたいなものだった。



キャロルの家に招かれたテレーズがピアノを弾いてあげる。

この旋律、どこかで聴いたことがあるような・・・・・・

ピアノに触れるテレーズの指先を見つめながら、キャロルはこの曲が気に入ったらしい。

そこで、テレーズはクリスマス・プレゼントにこの曲のレコードをキャロルに贈る。

ああ、そうだそうだ~ ビリー・ホリディだ。 原作にも使わていたそうです。

モーテルで二人がじゃれあっている時に、レコードの針が上がっても

繰り返し、ビリー・ホリディの 「Easy Living」 が流される。

あなたのために生きる、それは気楽な暮らし
         恋をすると、生きているのが楽になる
                 だから私の人生はあなただけ
                        それほどどっぷり浸ってる。




パトリシア・ハイスミスのベストセラーをトッド・ヘインズ監督が映画化。
1952年、ニューヨーク。クリスマスで賑わう高級百貨店のおもちゃ売り場に娘のプレゼントを買いに来たキャロルと
店員テレーズは、引力に導かれるように惹かれ合う。
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