暗殺者のメロディ | Untitled



暗殺者のメロディ(’72)イギリスイタリア国旗フランス国旗

監督:ジョゼフ・ロージー


ジョゼフ・ロージーだし、ロミー・シュナイダー出てるし

とっくに恋人関係は終わっているのに、映画人として良い関係を築いていた

アラン・ドロンとの共演だし、これは観なきゃでしょ。

旧ソ連の亡命革命家レフ・トロツキー暗殺事件を描いた作品。



1,940年、メキシコ・シティー。

貿易商を名乗る男フランク・ジャクソン(アラン・ドロン)は

愛人のギダ(ロミー・シュナイダー)と共にホテルに部屋を借りていた。

政治には無関心を装いながらも、実はソビエト国家政治保安部の

密命を帯びるジャクソンは、かつてはレーニンの片腕として君臨するも

現在ではスターリンの政敵として国外追放されたソ連の革命家

トロツキー(リチャード・バートン)を標的にする暗殺者だった。



“立証されている事実は忠実に再現したが、それ以外は脚色してある”

冒頭、このようなテロップが出るのですが、どこを脚色したの?

って聞きたくなるぐらい、娯楽性を排除した簡素で陰鬱な映像。

テロップのとおり “立証されている事実” に変な色をつけることなく

「再現ドラマ」 のように描かれている印象を受けた。

暗殺者を演じるアラン・ドロンをスタイリッシュに

さらには、ロミー・シュナイダーがエレガントに彩りを添えれば

お客さん沢山呼べただろうに(笑) そういうことしないんです。

貿易商として“トロツキー暗殺”の機会を静かに待っているアラン・ドロンは

超クールでカッコいいんですけど、その機会が近づくにつれ、おどおどしはじめ

精神のバランス失っていくんです。どうやらこの男はプロの殺し屋ではなく

家族が人質にされ、こんな仕事を請け負ってしまったことがほのめかされる。



「お前は何者だ?」 「トロツキーを殺した男だ」

動画の闘牛場のシーンにしても、瀕死の闘牛をその先の暗殺をイメージとして

描かれているようで、実は暗殺者本人の行く末のようにも見えてくる。

ロミー・シュナイダー演ずるギダの方は、トロツキー信奉者で

ドすっぴんにビン底メガネをかけて、トロツキーの政治活動に協力する女性で

フランクの“トロツキー暗殺計画”に、まんまと利用されてしまった愛人。

エレガントなロミー・シュナイダーを拝めずに非常に残念でしたが(笑)

華のある二大俳優は、この映画のコンセプトに則って

“立証されている事実を忠実に” 演じてみせてくれたのは

職業俳優としてのプライドを垣間見た気がするのでした。






1940年のメキシコシティーを舞台に、ロシア革命の推進者で亡命中の革命家トロツキーと
彼の信奉者ギタ。そしてギダを欺いて利用しながら密かにトロツキーの命をつけ狙う
暗殺者ジャクソンの姿を描いた心理サスペンス。
暗殺者のメロディ [DVD]/アラン・ドロン,リチャード・バートン,ロミー・シュナイダー

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