彼岸花(’58)

原作:里見弴の同名小説
監督:小津安二郎
抜群の安定感ですね。 小津さんの映画は安心して観ていられる。
娘の結婚を許さない頑固オヤジをめぐる悲喜こもごものお話なんですが
小津作品の中で、1番笑ったかも。。。。
威厳と保とうとする父親が今となっては滑稽に見えて(笑)

平山(佐分利信)は娘、文子(有馬稲子)には良い縁談をと考えていた。
ある日、突然、文子との結婚を了解して欲しいという谷口(佐田啓二)が
平山の会社を訪れ、文子と谷口の交際が発覚。
知人の娘の縁談には寛容な平山であったが
文子が相談なしに結婚の約束をしたと知り、激怒する。
文子と谷口との結婚を許さない平山のもとに文子の友人
幸子(山本富士子)が自分の縁談で困っていると相談にやってきた。

平山が帰宅すると玄関で妻の清子(田中絹代)が夫を迎えカバンを受け取り
夫は茶の間で背広やらワイシャツやらネクタイやらを脱いでは
床にぽんぽん放り投げて、妻がほいほい拾い上げてはハンガーに掛けたりして
肌着とステテコ姿の夫がそこら辺で、うろちょろうろちょろしている。
部屋着を用意してくれるのを待っているんですよね。自分でやれよ(笑)
こういうシーンひとつとっても、旧き昭和の家庭をユーモラスに描いています。
佐分利信(この人
)が、怖い顔になればなるほど、私はケタケタ笑ってしまい。山本富士子、浪花千栄子演ずる大阪の母娘の機関銃のような喋くりが
いいアクセントになっていて、平山の会社に面会に来た浪花千栄子が
あまりにも喋り倒すもんだから、平山はトイレに立つフリして仕事に戻っちゃう(笑)
多分、応接室にひとり放置されても、喋り倒していたんでしょう。
ところで、この作品で初めてカラーで撮ることとなった小津監督は
赤の発色の良さがある西ドイツ(当時)の会社のフィルムを使ったそうで
柔らかく温かみのある赤色がアクセントにもなり(赤色のやかんとか)
映画全体に落ち着きをもたらしていたようにも感じます。
山本富士子が着ている着物の裏地が赤色で、歩いていると足元の赤の裏地が
チラチラと見え隠れするんですよね。 裏地、色っぽ~い(笑)
小津安二郎監督が初のカラー作品に挑んだ名作ホームドラマ。
娘が自分の相談なしに結婚の約束をしていたと知った平山は激怒し、ふたりの結婚に反対する。
「彼岸花」 小津安二郎生誕110年・ニューデジタルリマスター [Blu-ray]/佐分利信,田中絹代,有馬稲子

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