仮面/ペルソナ | Untitled


仮面/ペルソナ(’66)スウェーデン


監督:イングマール・ベルイマン


ここまで精神的負荷がかかり、胸が締めつけられ、鑑賞後の疲労感たるや・・・・

ドッペルゲンガーをモチーフとした作品ですけど

観ている私自身も人格が侵食されていくような感覚で・・・・・



エリザベート(リヴ・ウルマン)は、舞台女優として確固たる地位を築き

善良な夫と可愛い息子にも恵まれ幸福に暮らしていた。

ところがある日、舞台上で突然セリフを喋れなくなり

失語症と無感動状態に陥ってしまう。

担当医の勧めで、エリザベートはバルト海に面した別荘で

看護婦アルマ(ビビ・アンデショーン)と共に転地療養をすることになる。



回転する映写機のフィルム、蜘蛛、生贄の羊、鳥の内臓、釘を打ちつけらる手

スラプスティック・コメディ、アニメーション、鉄格子、老婆の死顔・・・・・

脈略のないイメージの連鎖から始まるアヴァンギャルドな冒頭映像に圧倒される。

どさくさに紛れて、ペニスの画までサブリミナルにブチこんでくる。

5分ほどの実験的映像が流れ、ふたりの女性の物語が始まるわけですけど

心を閉ざし沈黙を保つ患者エリザベートと彼女の担当となった看護婦アルマ

病院では、患者と看護師の関係でしかなかったけれど

海辺の別荘へ転地療養することになってからは、ふたりの女性だけの世界に

少なからずエリザベートへの好意を抱いていたアルマは看護婦としての制服を脱ぎ

看護婦としてではなく、ひとりの女性として沈黙の女に語りかけ始める。



「ペルソナ」とは、元は、舞台で役者が用いた仮面のことで

心理学者ユングが人間の外的側面を「ペルソナ」と呼んだそうで

社会に適応しようと仮面を被り、自己を抑制し苦しみを生む。

仮面を剥ぎ取り、自分らしく生きようとすると、周りとの軋轢を生む。

アルマが自分自身を語りかけることで、仮面が剥がれ彼女の内的側面が露になり

沈黙のエリザベートの内的側面が、アルマを侵食していく・・・・・

病人だったエリザベートが生気を取り戻していき

その一方で、アルマが精神的に病んでいくさまは、さすがに寒気を覚える。

ふたりの女優の顔のクローズ・アップが多用されていますけど

画面いっぱいに映し出された顔は、血の通った人間の顔というより、まさに“仮面”

その“仮面”を映し続けることで、ベルイマンは内なる何かをあぶり出そうとしたのか。






舞台上で言語障害を起こした女優と彼女を看護する女性が、療養期間中に異常な関係へと変貌
やがて意識を共有するようになり、互いを侵食し合っていく。
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