だれのものでもないチェレ | Untitled



だれのものでもないチェレ(’76)ハンガリー

原作:ジグモンド・モーリツの小説「みなしご」

監督:ラースロー・ラノーディ


“DVD化は不可能と言われた幻の傑作が遂にリリース” 

そんなこと言われたら観ないわけにはいかないっ(笑)

これまで、ソフト化を阻んでいたのは、版権だとかの問題ではなく

その救いのない非情な内容によるものだと、容易に想像できる。



1931年、独裁政権下のハンガリー。孤児のチェレ(ジュジャ・ツィンコーツィ)は

国からの養育費目当ての­農家に引き取られ、服も着せてもらえない

学校にも行けない、ただ牛の番をするだけ。­

養父母からの愛情は一切なく、厳しい虐待を受ける日々。

とうとうチェレは家出をするが­、すぐに孤児院に収容され

再び非情な養親に引き取られてしまう。



太陽が沈みかけ、あかね色の空の下、真っ裸の少女が牛を連れて歩く。

真っ裸なのは、野性味溢れるやんちゃな女の子なわけではなく

もらわれっ子であるが為に、家畜以下に扱われ、着る服され与えてもらえない。

“チェレ” という名前も本名ではない。

家路につこうとするチェレの前に、小汚いおっさんが現れ

「オジさんが可愛がってあげる」 と幼い少女を強姦する。

家に帰って、養親がそのことを知っても、完全スルー。

隣家のスイカをひと玉失敬したら、お仕置きに焼けた石炭を握らされる。

最初の10分20分で、こんなの見せられたら、そらDVD化されないはず(笑)



原作者であるジグモンド・モーリツが投身自殺をしようとしていた少女に出会い

その子の実体験から小説化され、映画もその内容を忠実に映像化したそうで

この時代に、同じような “チェレ” が多く存在していたんでしょうね。

チェレが二軒目に引き取られた家に、使用人として働く老人がいて

この老人からチェレは、初めて人の優しさに触れるんです。

老人に、キリストに会わせてあげると教会に連れてってもらい

ミサの最中の、チェレのまなざしがもう綺麗くって、綺麗くって。。。。

『ミツバチのささやき』 で、映画「フランケンショタイン」を観る

アナ・トレントのまなざしを思い出さずにはいられない。

DVDは、「DIG」という映画復刻レーベルから出されたのですが、HP覗いてみると

“だから言うたでしょ!DIGの志は「名作を幻のままで終わらせない」って!!”

何に対しての “だから” なのか、ちょっと吹き出してしまいましたが(笑)

その志、素敵です☆ 今後も期待してます~



1931年、ハンガリー。孤児院で暮らすチェレは、養育費目当ての農家に引き取られ厳しい虐待を受ける。
家出をするもすぐさま施設に収容されたチェレは、再び富農に引き取られ、馬小屋で老人と暮らすことに。
だれのものでもないチェレ [DVD]/ジュジャ・ツィンコーツィ,シャンドル・ホルヴァート,アンナ・ナジ

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