ヘッドライト | Untitled



ヘッドライト(’56)フランス国旗

原作:セルジュ・グルッサールの小説「しがない人々」

監督:アンリ・ベルヌイユ



ジャン・ギャバン×フランソワーズ・アルヌール

『フレンチ・カンカン』 コンビによる哀愁たっぷりのメロドラマ。

“メロドラマ” なんて安いくくり方は失礼なのかもしれません(笑)

古き良き “詩的レアリスモ” を感じさせる映画です。



パリとボルドー間を走る初老のトラック運転手ジャン(ジャン・ギャバン)は

この日、街道筋の常宿でふと一年前の出来事に思いを馳せた。

あの日もこの宿を訪れた彼は、そこで親子ほどの年の離れた娘

クロチルド(フランソワーズ・アルヌール)と出会い、恋に落ちた。

冷たく暗い家庭に嫌気が差していた妻子持ちのジャンにとって

彼女はかけがえのない存在となっていく。

こうして新しい人生を歩む決心をするジャンだったが・・・・・。



“ヘッド・ライト” だけが頼りの先の見えない真っ暗な夜道を走るという

これから訪れる悲劇を暗示させるような意味で付けられた邦題ですけど

原題は 「とるに足らない人々について」

とるに足らない人々の、家庭を描き、仕事を描き、そして恋を描き・・・・

とるに足らない人々の、とるに足らない出来事の中にこそドラマがある・・・・

ジョセフ・コスマのテーマ曲が人生のほろ苦さみたいなものを感じさせられる。

その後の、ニーノ・ロータやエンニオ・モリコーネを想起させるような旋律。

どちらかと言うと男臭い映画なんですけど、フランソワーズ・アルヌールの

可憐さが、いい感じに中和してくれているんですよね。



ジャン・ギャバンは、フランス映画界を代表する俳優として知られてますが

超美形というわけでもなく、体型もずんぐりむっくり(笑)

この映画のトラック運転手みたいな役は、まんまハマリますけど

ただ、体型がしっかりしていないと似合わないダブルのスーツを着せると

他の者を圧倒するようなオーラを放つんですよね。

ジャンと同棲生活を送ったことのあるマレーネ・ディートリッヒが

「外面は荒々しく、内面はやさしい。」 と理想の男性だったと語っていて

そういった人間性や独特の色気を持ち合わせたところが

長くフランス映画界で愛された要因なのでしょうね。




初老のトラック運転手ジャンは仕事先で立ち寄った宿で女中のクロチルドと出会い、恋に落ちる。
しかし新しい人生を歩もうとしていた矢先に失職し…。
ヘッドライト [DVD]/ジャン・ギャバン,フランソワーズ・アルヌール,ピエール・モンディ

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