みじかくも美しく燃え | Untitled



みじかくも美しく燃え(’67)スウェーデン

監督:ボー・ウィデルベルイ


美しい・・・・・ ただ、ただ、美しい・・・・・

1889年に起きた、ヨーロッパ三大心中事件のひとつとされている

スウェーデンの陸軍中尉シクステン・スパーレと大道芸人エルヴィラ・マディガンの

みじかくも美しく燃えた、道行を描いた作品。



妻子ある伯爵のスパーレ中尉(トミー・ベルグレン)は

サーカスの綱渡り芸人エルヴィラ(ピア・デゲルマルク)と愛し合い、二人で逃亡。

友人の制止も聞き入れず、あてどない逃走を重ね、やがて金も尽きてしまう。

日蔭者の身に職もなく、手配書は至る所に回っている。

木苺や茸で飢えをしのぐ森での暮らし。しかし、北欧の夏は短い。

行く末を儚んだ二人は、見事に晴れ渡った一日をピクニックに過ごし

最後の贅沢にランチを満喫し、そのときを迎える・・・・・。



北欧の夏を捉えた、柔らかな陽光に青々とした緑に

エルヴィラの白を基調とした淡い黄色、もしくは、淡い水色の衣装。

そして、エルヴィラの輝くような金色の長い髪の毛。

モーツァルトの調べにのって、すべてのショットが絵画的な美しさを放っていて

森で摘んできた木苺を、町で買ってきたクリームにべっとりつけて

子供の頃に戻ったかように、しゃぶりつく姿が微笑ましい。

ラストの “そのとき” に向かって真っ逆さまに堕ちていく話なのに・・・・・

さらに、ベルイマンの「夏の三部作」で感動的な美しさを見せた

北欧の白夜が、この映画でカラーで味わえちゃうんです。 

“淡い” ってこういう色調のことを言うんですね。



動画では、二人の実際の写真や泊まっていた宿など織り込んでいますが

彼らが最後の地に選んだデンマークの森は、後に “エルヴィラの森” と呼ばれ

口伝え歌にまでなって、今もなお伝説的に語り継がれているんだそう。

そして、何と言ってもエルヴィラ役のピア・デゲルマルクの神がかり的な美しさ!

次代のイングリッド・バーグマンとまで騒がれたそうですが(そりゃ騒ぐよ)

何で今まで存在を知らなかったのか? この後、2~3作の映画に出ただけで

映画プロデューサーと結婚して、早々に女優業から引退してしまったそうです。

ただ、セレブな結婚生活も長くは続かず離婚。その後、拒食症、神経過敏症

ドラッグ中毒、療養所生活、逮捕、服役・・・・

映画に負けないぐらいの波乱の人生を歩んだみたいです。





1889年にスウェーデンで実際に起こった事件を元に描かれた悲恋ドラマ。
妻子ある伯爵スパーレは、サーカスに所属する若く美しい娘エルヴィラと恋に落ち、駆け落ちしてしまう。
モーツァルトの美しい旋律と映像美が際立つ上質なラブロマンス。
みじかくも美しく燃え [DVD]/ピア・デゲルマルク,トミー・ベルグレン,クレオ・ジェンセン

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